特集/コラム
飲んで良し、浸かって良しの健康湯−温泉の恵みを「気」と一緒に皆さんへ
山口市中心部に眠るお宝を一斉公開する観光イベント「第3回山口お宝展」(2月17日まで)の開催に合わせ、湯田温泉観光案内所の足湯横に1月18日、温泉が飲める施設「飲泉場」がオープンした。泉質の良さを実感してもらおうと湯田温泉配給協同組合が整備したもので、オリジナルの飲泉用ぐいのみ3万個も製作。同展期間中は旅館宿泊客に配布するほか、同観光案内所が1個100円で販売している。観光客をはじめ市民にも人気の足湯に次ぐ、新たな観光スポットの誕生。湯田温泉のブランド化を狙う同組合の西村正伸理事長(西村屋社長)に話を聞いた。
―― 誰でも利用できるとあって、さっそくたくさんの方が訪れていますね。
西村 大変うれしいことです。湯田温泉は800年以上の古い歴史を持ち、県内はもとより山陽路でも随一の温度を誇る良質の温泉。その上「飲める」のだということをぜひ知っていただきたいと思い、市の補助を受けて飲泉場を整備しました。湯田温泉の泉質はアルカリ性単純泉ですから、温かい天然のアルカリイオン水を飲むイメージです。無味無臭で口当たりがやさしく、大地のミネラルが含まれているので体にも良いですよ。
―― 飲泉用のぐいのみも凝っていますね。
西村 今年のお宝展は、室町時代の守護大名・大内氏が風水に基づいて築いた山口のまちをめぐることで、風水の名残を感じながら良い運気を取り込んでいただこうと「風水のまち巡り」をテーマにさまざまな催しが企画されています。この中で、まち歩きの一つのコースにもなっている
湯田温泉は、大内氏館から見て南西の方角、龍脈に沿って地中を流れる「気」が地上に吹き出す場所にあたるとのこと。大内氏の時代にはすでに、湯田温泉が温泉場として栄えていたことも壁書などから分かっています。そこでこのぐい飲みの底には、風水にちなんで運気の「気」の文字を記しました。温泉と一緒に大地のエネルギー(気)を飲み、良質の湯に浸かり、邪気を払って皆さんに元気になっていただきたいと願いを込めまして。
―― 飲泉が可能な温泉は県内でも数少ないと聞きますが。
西村 その通りです。飲むとなると審査は厳しいですから。そういった意味でも、飲泉許可によって湯田温泉の安全性が立証できたことはとても喜ばしいことです。とはいえ、ネックもありました。湯田温泉では、7カ所の泉源から汲み上げた温泉をいったん一つのタンクに集め、組合の集中管理の下で各温泉施設に配給しているのですが、その仕組みがすぐには理解していただけませんで。湯田温泉の配湯設備は、汲み上げた温泉をそのまま風呂に
注ぐのと要は同じ。泉源からタンク、管を通って風呂に注がれるまで、一切空気に触れることはありません。だからこそ、温泉成分の劣化もなく、泉質を保つことができるのですが、複数の泉源を持つ上に設備の規模が大きいので、どうしても誤解を受けやすいのです。結果的には、配湯管は水道管と同等だということが公に認められました。
―― 飲泉場ができる以前に、温泉を飲まれた経験はありますか?
西村 もちろんありますよ。それに、温泉水でご飯を炊くと、とてもふっくらと炊きあがっておいしいです。各旅館が自家泉源から温泉を汲み上げていた時代には、皿洗いも洗濯も温泉水、それはもう生活に密着していました。温泉旅館で生まれ育った私は、毎朝暖かい風呂場で身支度を済ませるのが子どもの頃からの習慣でしたし。進学して山口を離れた時には、温泉がない環境で暮らすのが辛くて辛くて。ぜいたくな話ですが。
――昔は配湯制ではなかったのですか?
西村 かつてはどこの旅館も自家泉源を持っていました。泉源の温度は平均で42度くらい。ところが、戦後だんだんと温度が下がり始め、ぬるくてそのままでは使えなくなってしまいました。地下で温泉が温まる以上に汲み上げ過ぎていたのです。このままでは泉源が危ないということで県に地下調査をお願いしたところ、湯田温泉の地下が2層になっていることが判明しました。それまで我々が泉源にしていたのは浅い湯だまりで、そのさらに地下深くに高温で湯量の豊富な泉源があることがわかったのです。そして昭和34年、湯田温泉のすばらしい資源を守り、温泉を皆でバランス良く使っていこうと、汲み上げから配湯までを一元管理する当組合が設立されました。以来、64〜66度の湯温も1日2000トンの豊富な湯量も変わることなく、今日に至っています。
――さらに取り組みたいと考えていらっしゃることは?
西村 これをはずみに、各旅館に飲泉場が広がっていくと良いですね。飲んで良し、浸かって良しの、安心・安全・良質な温泉をしっかりとPRしていただきたい。これだけ優秀な温泉なのですから、ブランドとして全国に売り出さなければ。まずは湯田温泉の質の良さを知っていただくことからと、足湯などの施設整備、大学との共同研究など多方面から取り組んできましたが、今後は湯田温泉のランドマークとなる核施設が早期に整備されるよう、皆で努力して参りたいと思います。
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