-今年の秋に30周年を迎えるそうですね。おめでとうございます!
ありがとうございます。21歳の時にアメリカから帰って来て、この「新日本料理吉祥 宇部本店」(東岐波)を出店して今年でちょうど30年になります。
-BM宇部に登録されているPR情報を見ると「京都と大阪で修業後に渡米」と書いてありますが、アメリカに行ってみたいという思いがあったのですか?
そうですね。グローバルに活躍したい、海外に出てみたい、という思いがありました。修行している時に「アメリカで働ける日本人を探している」という話があったので、二つ返事で引き受けました。
-現地ではどのような仕事をされていたのですか?
ロスの日本料理店で店長兼料理長という立場でした。当初は3カ月ぐらいの滞在という話だったのですが、結局2年弱滞在しました。居心地が良かったんでしょうね(笑)。
-そして帰国後の1985(昭和60)年に、この宇部本店を出店されたと。ここはオーシャンビューで眺めが良くて、雰囲気も良いですね。
ありがとうございます。最初はどこかに新たに店を建てることを考えていたのですが、この場所はもともと母が飲食店をやっていて、設備がそのまま残っていたので、居抜きの形でここに出店をすることにしました。
当時の飲食業界は全体的に接客もまだ良くなくて、雰囲気の良い店も少なかったですね。私はアメリカでの経験がありましたから、そういったことを変えていきたいという思いがありました。宇部の食文化の向上というのもテーマにしていましたね。
出店した当時はバブルのころでしたから、接待需要なども多くあって最初の3年間ぐらいはとても順調でした。
-なるほど。順風満帆で進み、平成15年に2店舗目となる「アンド吉祥 小郡店」を出店されたと。
いえいえ、順調な時期はそう長くは続きませんでした。バブルが終わって、次第に接待需要も減っていきましたからね。良かったのは最初の10年ぐらいまでで、その後は良くなかったですね。
そういう状況の中で大きな節目になった出来事があって、実は1999(平成11)年の台風18号で甚大な被害を受け、この店の屋根が丸ごと吹き飛ばされたのです。
業績が芳しくない中でそんな被害を受けましたから、改修するような費用も当然なくて。半年ぐらいは休業状態でしたね。屋根がなくて日当たりが良いので店内にキノコが生えているような状態でした(笑)。
一時は再開をもう諦めようかとも思ったのですが、やはり自分にはこの道しかないと腹を括り、何とか改修費用に目途を立てて出直すことができました。
-その状況から、よく2店舗目の出店までこぎ着けましたね。
再出発した時にちょうど仕出しやおせちなどのオファーが舞い込んできて、その後も順調に数が増えたことが大きかったですね。それと、リニューアルをしたことで新規のお客様が結構増えました。そして軌道に乗ってきたことで2店舗目の出店をしました。
-2店舗目はどんなお店にされたのですか?
当時、おしゃれな居酒屋という業態が流行りつつありました。店の中に池があったり、滝が流れていたりだとか。そういうお店がまだ地方にはなかったので、都会で流行っているお店を模倣するような形で出店をしました。狙い通りというか、そういうお店がなかったこともあって繁盛しましたね。
そして2店目も軌道に乗ってきて、出店を拡大していこうと。やるんだったらもっと伸ばしていこう、ということで順次出店をしていきました。
-近く、8店舗目となる「アンド吉祥 中央店」が宇部にオープンしますね。
はい。9月7日にオープンします。当社は「あんど水産」と「アンド吉祥」を展開していますが、「あんど水産」は魚料理を中心に元気にモリモリ食べて頂けるようなカジュアルなお店です。今回宇部中央にオープンする「アンド吉祥」は、簡単な接待というか遠方から人を招いた時などに一緒に楽しんでもらえるようなお店として想定しています。
-今回インタビューをさせてもらっているこちらの「新日本料理吉祥 宇部本店」はどういう位置づけなのですか?
ここは「吉祥」というブランドを維持するための旗艦店という位置づけをしています。お祝いごとや記念の時などに利用されるお客様が多いですね。
-今後も出店を拡大していく予定ですか?
そうですね。現状維持は衰退と同じですから、今後も出店はしていきたいと思っています。ですが、人口が減少傾向で労働人口も減っていますし、居酒屋業界も厳しくなっています。若者を中心に酒離れが進んでいますしね。攻めどころを変える必要があるというか、何かを変えないといけないと思います。
最近は宇部に大手の店がたくさん進出してきていますが、彼らはオペレーションが完成していますから設備投資をたくさんしてもちゃんと回収する仕組みを持っているんですよね。我々も大きくなるためにはしっかりとした仕組みづくりをしなければいけないと思っています。
-仕組みづくりは、いろいろ研究されてますか?
そうですね。いろんなセミナーに出席したり、社員と共に勉強会に行ったりしています。人材を育てることもしていかないといけませんから。
-最近、人手不足とよく言われますが、実際にどうですか?
人手不足は感じますね。それと最近は採用窓口が変わっていているなと感じます。ちょっと前まではフリーペーパーや求人誌などからの応募が多かったですが、最近はネットからの応募が増えて来ていますね。ジョブセンスやLINEバイトなどからの応募が目につきます。
-いろんな新しいチャンネルを試されているのですね。
新しいものがどんどん出てきていますが、まずは試すようにしています。実験してみないと分かりませんし、経験して知っておかないと置いて行かれてしまいますからね。
-そういう中で、BM宇部にはどんなことを期待されますか?
そうですね・・・。ビジネスのマッチングが目的だと思うのですが、個人的には宇部の中だけでマッチングしてもどうなのかなという気がします。もっとグローバルな視点が必要というか。市外や県外の人や企業にも見てもらって宇部の企業を知ってもらえるようなサイトになるといいですね。それと、地元に戻って働きたいという人にも見てもらえるといいですよね。
-貴重なご意見を有難うございます。最後に今後の展望について聞かせてください。
将来的には海外に進出したいと思っています。ですが、まずは県内に10店舗出したいと思っています。10店舗を効率よく運営するにはセントラルキッチン方式を導入する必要があると思っているので、まずは安定して供給できるセントラルキッチンを作って地場を固め、余剰を少し持てるようになってから海外に進出したいと思います。
-有難うございました!
■株式会社吉祥
宇部市大字東岐波129-1
TEL:0836-39-6021
代表者:代表取締役 沼聖剛