山口県の伝統工芸の「大内塗」を施した漆(うるし)塗りの機動戦士ガンダムと新世紀エヴァンゲリオンが話題を集めている。
制作したのは、大内塗工芸品製造・販売の「中村民芸社」(山口市大内御堀)3代目の中村建さん。職人でガンダム好きの中村さんが「新たな挑戦」としてプラモデルのパーツに大内塗を施し、1体におよそ3週間かけて仕上げた。
ガンダムの「ジャスティス」には大内塗の代表的な大内朱を使い、「フリーダム」には紺を配合した色を使用。エヴァンゲリオンの「初号機」と「弐号機」には、漆に色粉を混ぜて鮮やかな色を出し、漆独特の艶と色の深みを表現した。
きっかけについて、同社営業担当で妻の理恵さんは「大内塗の伝統技術を若い世代に伝えるためには、漆器に変わる商品展開が必要と模索する中、こうしたものにも塗ることができるというアピールのため制作した」と話す。
今春完成後、県内で開催されたイベントでお披露目をしたところ、「これまで見向きもしなかった10~20代の若者やファンが足を止めて写真を撮ったり興味を示したりする人も多く、制作にまつわる話や大内塗の特徴などの話をすることができ、アピールの手応えを感じた」という。
今では同社の「第2の営業マン」として活躍する「ガンダム」と「エヴァ」。理恵さんは「大内塗に敷居の高いイメージを持っている人もいると思うが、そうではなく親しみやすいことを知ってもらえれば。次の世代に伝統をつないでいきたい」と話す。
同作品は同社玄関に展示しており、見学も可能。営業時間は9時~18時。