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山口に夕暮れ開店の個性派書店「文鳥堂」 店内にギャラリー、カフェも

店主の藤田良三さん

店主の藤田良三さん

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 山口・米屋町の路地裏に4月25日、新たな文化の発信地となる書店「文鳥堂」(山口市駅通り2、TEL 083-995-1451)がオープンした。

「文鳥堂」外観

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 米殿小路の呉服店跡をリノベーションした同店の店主は、地元企業「人事情報システム」(矢原)の代表であり、社会保険労務士の顔も持つ藤田良三さん。仕事を終えた夕方から、街の灯がともる頃に店を開けるというユニークなスタイルで営業する。

 長年、自身がコレクションした美術品などを展示するギャラリーを開きたいという思いを抱いていた藤田さん。昨年12月に小倉井筒屋で書店のコーナーを偶然目にしたことで、その構想が具体化したという。「こだわりの本が、書評とともに丁寧に並べられている様子に感銘を受け、自分もこんな書店をやりたいと思った。ちょうど、理想的な物件との巡り合わせも重なった」と、そこから店舗の改装や書籍の仕入れなどを精力的に進め、ついにオープンへとこぎつけた。

 現在の店内には、約3,000冊の本が並ぶ。そのうち約7割が新刊で、状態の良い中古本が約3割を占めるという。新刊の約半数はバーゲンブックとも呼ばれる「自由価格本」(出版社が定価からの割引を認めた未使用の新品本)で、同店では定価の半額で提供する。

 本のセレクトは藤田さんの独自の視点によるもので、「タイトルや装丁を見て面白そうだと思った本、自分が純粋に読んでみたいと思った本を仕入れている。ジャンルに特にこだわりはなく、自分が本当に売りたい本を並べていきたい」と話す。店内には多様なジャンルの書籍が並ぶほか、ZINE(ジン)やリトルプレスといった自主制作出版物も取り扱う。

 店内は、呉服店の趣を残し、畳の間やカウンターがそのまま活用されている。畳の間は、藤田さんが長年集めた美術品などを展示する「ギャラリースペース」として、本とアートが共存する空間を演出。 カウンターは「カフェスペース」として生まれ変わり、コーヒーやハーブティー(以上250円)を片手に読書を楽しむことができる。「少人数の読書会やイベントなどを開きたい方には、スペースの貸し出しも可能なので、気軽に相談してほしい」と藤田さんは呼びかける。

 路地裏ながら人や車の往来は多く、これまでのところ、多い日には15人ほどの来店があったという。「本が本当に好きな方が足を運んでくださっていると感じる。平均すると1日に5、6人の来客だが、皆さんゆっくりと本を手に取って眺めたり、立ち読みしたり、私との会話を楽しんでくださったりと、滞在時間が長いのが特長。2階には宿泊できる部屋もあるので、気に入った本をじっくりと時間をかけて読みたいという方には、ぜひ利用していただきたい」と笑顔を見せる。

 今後の展望について、藤田さんは「それぞれの本に魅力的な書評をつけていきたい。また、病院や社会福祉施設など、本を読みたくてもなかなか手に入れることができない方々のために、移動販売も視野に入れている」と意欲を見せる。

 営業時間は、平日=18時~22時。土曜・日曜・祝日=15時~22時。不定休。

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