
葉っぱ切り絵アーティスト・リトさんの作品を展示する「リト@葉っぱ切り絵展~葉っぱの小旅行in山口~」が8月2日、宇部の「ときわミュージアム(世界を旅する植物館)」(宇部市野中3、TEL 0836-37-2888)で始まった。
1986(昭和61)年生まれ、横浜市出身のリトさんは、自身のADHDによる偏った集中力やこだわりを前向きに生かそうと、2020年から独学で葉っぱ切り絵の制作を開始した。ウサギやネズミ、クマなどの動物たちが織りなす物語を、たった1枚の小さな葉っぱの上に手作業で切り出していく。その繊細で温かい世界観はSNSで大きな反響を呼び、ほぼ毎日投稿される作品は多くのファンを魅了している。
全国で作品を展示するイベントが開かれているほか、2024年には個人美術館「LITO LEAF ART MUSEUM FUKUSHIMA」(福島市)を開館し、4月には「第3回やなせたかし文化賞大賞」を受賞するなど、国内外から大きな注目を集める存在だ。
同展では、リトさんの葉っぱ切り絵作品の実物と、SNSに投稿された写真、合わせて51点を展示する。期間中、「記念撮影スポット」や「ヒストリー動画コーナー」を設置するほか、葉っぱ切り絵グッズや書籍、カレンダーの販売、植物館と連動したスタンプラリーも実施する。
初日にはリトさん本人が来場し、書籍・カレンダー購入者限定の「サイン会」を2部制(1部=11時~12時、2部=13時~14時)で行うほか、本物の葉っぱ切り絵を空にかざして撮影する「切り絵撮影会」(11時~14時)も行う。
リトさんは「デザインカッター1本で切っている。一つ一つゆっくりと見ていただき、それぞれの解釈で自由にストーリーを思い浮かべながら、世界に入り込んで楽しんでほしい。実物は生き物なので、写真を撮った時から色が変化しているものもある。空にかざした写真と見比べながら、軸となる葉脈や、紙にはない魅力を感じてもらえたら」と話す。
「さまざまな表現を模索しながら、たどり着いたのが葉っぱの切り絵。同じ生きづらさを感じている人たちにも、こんな風に自分の生き方を変えた人もいるんだなと届いたら」とも。
同展は、宇部ときわ公園開設100周年を記念して開催する。県内でのリトさんの作品展は初めて。同園企画課主任の島谷恵子さんは「葉っぱの切り絵作品展は植物館ともぴったり当てはまる。私自身がファンで、いつか当館でという思いがずっとあり、オファーをしたところ快諾していただいた」と話す。
「リトさんの繊細で優しい世界観は、見る人を幸せにし、感動を与えてくれる。葉っぱという身近なものが素材なので、作品を見た子どもたちは真似したくなるはず。かなり難しいと思うがチャレンジしてみてほしい」とも。
同展は8月24日まで。入場料は、一般=600円、高校生=400円、小・中学生=300円。身体障害者手帳、療育手帳または精神障害者保健福祉手帳の提示で無料。
開館時間は9時30分~16時30分(最終入館は16時)。8月5日・19日は休館。