山口・堂の前町の黒地蔵横の岡村材木ガレージで7月20日から、山口のクリエーターによる企画展示「鷺ノ舞-trad touch-」が開催される。
イベントは、山口祇園祭の鷺舞神事をテーマにした作品を、鷺舞の出発点と到着点となる山口・堂の前町の「黒地蔵」横で展示するもの。参加アーティストは、takuwanさん(音)、竹重康弘さん(陶芸)、pacca paca(陶芸)、大中和典さん(陶芸)、今岡彩美さん(絵画)、佐伯和章さん(彫銀)、原恵美さん(布)、田村典子さん(布、石)で、ほとんどが山口市在住のクリエーター。
takuwanさんは鷺の舞をイメージしたエレクトロニカ系の音楽、pacca pacaの田端涼さんは鷺舞を舞う人の顔を表現した壁掛け、今岡彩美さんは白をベースにした鷺舞のイラストと水彩画を組み合わせた絵画を展示。そのほか大正10年の鷺舞の写真も展示されており、その写真から大正時代の鷺舞は、現在のように2羽でなく、8羽以上の鷺が舞われていたことがうかがえる資料となっている。
初日となる20日にはレセプションパーティーを開く。山口祇園祭の鷺舞神事の到着点となる黒地蔵で舞う最後の舞を参加者全員で鑑賞後、岡村材木ガレージで鷺の2人が笛の音に合わせて舞い、takuwanさんの音楽とセッションを行う現代版の鷺舞が披露される。会場には1ドリンク500円のミニバーも設ける。鷺舞の到着は21時40分ごろの予定。
衰退していく鷺舞に、多くの人が興味を持ち、鷺舞の保存・伝承につなげるというのが同イベントの目的。イベント名の「trad touch(トラッド・タッチ)」とは、「traditional touch(トラディショナル・タッチ)」を短くしたもの。伝統に触れる企画になればと名付けられた。
今回のイベントを主催するのは蔵田章子さん。蔵田さんの家は、代々この鷺舞を守る頭屋(とうや)を務めてきた。保存会の会長でもあった蔵田さんの祖父が今年2月に他界し、他に3軒ある頭屋のうち2軒の引っ越しもあり、蔵田さんは鷺舞が衰退していくことに寂しさを覚えたという。山口市内の友人に鷺舞を知っているか聞いたところ、知らないという人が多くショックを受けたとも。そこで、もう少し若い人に受け入れられる形で何か提案できないかと思ったのがきっかけ。
蔵田さんは、現在、京都造形芸術大学の4年生。東京の大学卒業後、出版社に勤めていたが、家業を継ぐため京都造形芸術大学に入学した。同イベントは、蔵田さんが通う京都造形芸術大学の学生制作助成金を受けている。
蔵田さんは「20~30代の人が鷺舞を知るきっかけになれば。頭屋は4年に1回まわってくるもので、次に我が家にまわってくるのは3年後。このイベントが好評だったら、3年後の頭屋のときにまた開催したい」と話している。
開催日時は18時~22時。同27日まで。
(©マルニ)