山口・宇部の郷土料理テーマにした食イベント「いとこ煮、けんちょう…、食べてみんかね。」が11月28日、西岐波ふれあいセンター(宇部市床波6)で開催された。
同イベントは、現在行われている観光型体験イベント「うべ探検博覧会」のプログラムの一環。地元の郷土料理の再認識や継承を目的に、20~90代の幅広い世代の18人が参加した。主催は西岐波婦人連絡協議会。
講師を務めたのは、元小学校教諭で10年ほど前から地域の小学生を対象に郷土料理の魅力を広める活動を行っている同会会長の中野リヱ子さん。宇部や県内で食べられている、米をほうじ茶で炊く「茶粥(ちゃがゆ)」や、根菜や小豆などを入れた冠婚葬祭料理「いとこ煮」、チシャを使った「チシャなます」、大根や豆腐などを炒めた「けんちょう」など5品を紹介した。
戦中・戦後にかけて少女時代を過ごした中野さんは、食に対する心の豊かさや食生活の変化を憂いながら、郷土料理はそれぞれの年間行事とともにあることや風土が関係していること、「物がなかった」当時に編み出された知恵などを説きながら、後世への伝承の大切さを約1時間にわたり熱弁。参加者はその後、調理工程を見学・試食し地元の味を楽しんだ。
参加した20代女性は「普段食べることがないので新鮮で、地元の文化は継承していかないといけないと感じた。地元の料理について答えられる自信がなかったが、もっと親しみを持ちたい」と話す。萩出身の50代男性は「いとこ煮やけんちょうにはなじみがあったが、茶粥は初めて食べた。お茶の香りがよく気に入ったので自宅でもぜひ作ってみたい」と話す。
中野さんは「皆さんに気に入ってもらえたようだったのでとてもうれしい。私は田舎のおふくろの懐かしい味しかできないが、そこには母の姿や手伝っていた子どもの姿があったはず。心も一緒にこれからも伝えていければ」とほほ笑む。