山口県立美術館(山口市亀山町、TEL 083-925-7788)で9月28日より、「田中米吉-『ドッキング』からの視線」が開催されている。
同展では、山口市在住の彫刻家である田中米吉さんの作品約40点を展示する。田中さんは、山口市内にアトリエを持ち、80歳を超えても精力的に創作活動を続け、次々と新作を発表している。「ある局面とある局面とが『ドッキング』して(結びついて)そこに生まれる空間が作品」(同美術館)になっているという。
田中さんの作品は、いろいろな見方をすることにより楽しめる不思議なものが多い。「Untitled」シリーズは、重くて大きな鉄の箱がアクリルパイプに支えられている作品。少し動かすことで、ゆらゆらと宙に浮いているかのような動きを見せる。「Docking」シリーズは、いくつかの黒や白のリングがつるされ、ある1点に立つことで同心円になるというドッキングの頂点を表現した作品で、立体から平面への変化を楽しむ。「Universality(自己・非自己)」シリーズは、丸い穴が無数に空けられた真っ黒な鉄の板の箱。穴と穴が寸分違わずドッキングした場合に、向こうに見える世界が何かを意識している作品。同じシリーズの作品いくつかがひとつの部屋に展示されており、部屋全体が作品となっているという。
同28日にはオープニングセレモニーが行われ、美術館関係者、報道関係者、招待客などが出席した。田中さんは「これまで絶えず新しい方向を出したいと思って創作活動をやってきた。今回は、それぞれの時期の作品が展示してある。作品の回りをぐるぐると回ったり、立ち止まって見たり、作品と一緒に遊んでもらって、その中で何かを見つけてもらえれば。とにかく見てほしい」とあいさつした後、展示会場に移り、出席者らに作品の説明をして回った。
開館時間は9時~17時。月曜休館(10月8日は開館、9日は休館)。10月28日まで。観覧料は、一般=700円、学生=500円。
山口県立美術館(©マルニ)