詩人・中原中也とフランス文学との関わりについて紹介する常設テーマ展示「中原中也とフランス文学」が2月16日、中原中也記念館(山口市湯田温泉、TEL 083-932-6430)で始まった。
内容は21点の資料とパネル展示で、中也とフランス文学との出会いから、中也が翻訳した詩の数々、その創作詩への影響を紹介。「出会い」「交友の中で」「アルチュール・ランボー」「ノート翻訳詩」「翻訳家中原中也」「フランスへ」の6部で構成する。展示テーマの「フランス文学」に合わせ、ディスプレーにさりげなくトリコロールカラーが取り入れられているのも特徴。
「当時の日本の文学者はフランスの詩を文語体で訳していることが多いが、中也は口語体を基本にして分かりやすくアレンジして訳しているので、今の人が見ても読みやすい」(同記念館、中原副館長)のが特徴。中也が翻訳した詩として、ランボーの「母音」や「幸福」をはじめ、8作品を解説付きでパネル展示している。
中也がフランス文学に出会った頃から関心を持っていて、晩年に翻訳を完成させたランボーの「酔ひどれ船」の世界を表現した展示コーナーでは、自筆の草稿(レプリカ)7枚の展示や、中也、ランボー、ヴェルレーヌが好んで飲んでいたというフランスのお酒「アブサン」のディスプレーも。
同記念館では「常設テーマ展示」として1年毎に決まったテーマを設け、その中で中也の世界をより深く追求していく常設展示方法を採用しており、今回で4回目の展示替えとなる。昨年度は中也が過ごした時代の山口を写真などで再現した「詩人をはぐくんだ風土・山口」、2005年度は中也の祈りをテーマにした詩から本質に迫る「祈り-中也の宗教性」、2004年度は長谷川泰子との出会いと別れを通して詩の変遷をたどる「中也 愛の詩-長谷川泰子をめぐって」などをテーマに展示を行ってきた。
中原副館長は「今回の展示では、中也がフランスをどれほど深く愛していて、それが中也の創作する詩にどれだけ影響しているのかを感じとってもらえれば」と話している。入場料は一般=310円、大学生210円、小・中・高生=150円。2008年2月17日まで。
中原中也記念館(©マルニ)