山陽小野田観光協会、厚狭高校(山陽小野田市厚狭)、洋菓子店「トロアメゾン」(山陽小野田市郡、TEL 0836-73-2034)が共同開発した幕末ゆかりのスイーツ「くろまる」が現在、人気を集めている。
2018年に山口県が明治維新150周年を迎えることから、同観光協会が「幕末ゆかりのスイーツ」をテーマに新商品開発を企画した。厚狭高等学校総合家庭科の生徒から案を募り、明治維新後に女子教育の必要性を説き船木女児小学(後の厚狭高等学校)を創設した毛利勅子(ときこ)にスポットを当てた。
同校生徒が製作した試作品を、小野田市内の料理研究家3人を招いた試食会で意見をまとめ、10数点の案の中から「勅子の黒髪と黒留袖をイメージした黒い菓子にする」「同市産の青のりを使用する」などの案を採用した。
その後、商品化に向けて洋菓子店「トロアメゾン」に協力を依頼。同店の和菓子「山口あんころり」をモデルに、外側の生地にブラックココアを使った。中には青のりを練り込んだ白あんを入れ、勅子の「生徒を包み込む愛情」を丸い形で表現した。
同店の水上隆夫社長は「生地を黒くするのに苦労した。炭では味に特徴とうま味がない。ブラックココアを使ったことで色合いは優しい黒になり、誰にでもなじみやすい味わいに仕上がった」と話す。
同商品は今年6月に同店で販売を始めた所、手配りしやすいサイズにしたことが功を奏し、土産品として人気があることから、山陽小野田・稲荷町の和菓子店「山口心和菓子 三つ舎(みつや)」(山陽小野田市稲荷町、TEL 0836-39-8438)でも今秋から取り扱いを始めた。
山陽小野田市役所産業振興部観光課の村中佳子さんは「初めて食べた時は感動した。今回の発売に合わせて幕末ゆかりの人物に関するリーフレットも作成し、市内の公共施設に設置している。お菓子をきっかけに地域の歴史や幕末に目を向けてほしい」と呼び掛ける。
水上社長は同校出身。「後輩のアイデアを製品化し発売できてよかった。同窓会でも紹介された。学校関係者や市役所の人たちも一緒に作った商品ということで、それぞれが自分たちのものだと愛着を持ってくれていてうれしい。山口県の名物の一つになる可能性があると感じている」と期待を寄せる。
価格は、3個入り=250円、10個入り=860円、20個入り=1,620円。