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宇部の「はなや」でデザイナー・上田純子さんの回顧展 60年の軌跡たどる

「これからも愛のある服を作り続けていきたい」と上田さん

「これからも愛のある服を作り続けていきたい」と上田さん

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 60周年を迎えた宇部のレディースアパレルメーカー「はなや」(宇部市新天町2、TEL0836-21-1989)で10月3日、記念展示イベントが始まった。

ドレスが並ぶ会場の様子

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 宇部出身のデザイナー・上田純子さんの60年の軌跡をたどる回顧展。これまでの上田さんの創作活動をパネルや写真で紹介するほか、8ミリで撮影した当時のファッションショーや独自インタビューを組み合わせた映像も公開する。

 上田さんは1964(昭和39)年に「オートクチュール はなや洋装店」を開業。本格的に服飾デザインを学ぶために渡仏を重ね、ボディ(人台)に布をあてて立体的にパターン(型紙)をつくる「立体裁断」をパリで学び、日本人の体型に合った洋服作りを確立した。

 上田さんは「60年ぶれなかったことは、服作りに込めた愛とそれ以上に服を着る人への愛。わき目もふらずに作り続け、不屈の精神でただ前だけを向いてきた。デザインの生みの悩みは常に研究と追及を続けて乗り越えてきたが、ビジネスとして成り立たせることには苦労した。私のテーマである『美しく生きる、美しく暮らす』の思いを込めた一着一着が皆さんに届いたからこそ、ここまで歩んでこられた」と振り返る。

 1975(昭和50)年には「ブティック HANAYA」を開店。2009(平成21)年にはコスメティック部門を設立し、オリジナル化粧品「MJ」(マダム・ジュンコ)を開発。2019 年に自社ブランドを「HANAYA COLLECTION」に統一した。

 現在は東新川にアトリエを構え、20代~80代のスタッフ14人が在籍している。「品格や洗練、着心地の良さをモットーに、パターン作りから縫製、仕上げに至るまで全行程を一貫して行う。立体裁断は通常の数倍の手間と時間をかけて職人が生み出す一点もの。今なお新鮮に映る作品を、ファッションが好きな人、物作りに携わる人など多くの人に見てもらえたら」と上田さん。

 同イベントでは、上田さんが手がけたドレスを今風のアクセサリーや靴、髪飾りなどでコーディネートしてデザイン画とともに展示する。12時~17時までは1階で「ティーサロン」を開き、上田さんの長女で料理家の上田恵子さんが「フルーツゼリー&コーヒーのセット」(1,000円)を提供する。

 上田さんは「鏡の前で幸せを感じてもらえている姿を見るのが最大の喜び。時代の変化によって人の気持ちもどんどん変わっていくが、流行を追うのではなく、今や未来の流れを感じ取りながら、ひらめきを大切にしていく。とにかく健康で、これからも愛のある服を作り続けていきたい」と話す。

 同イベントは今月8日まで。開催時間は11時~17時30分。

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