パキスタンとアフガニスタンで30年間にわたり、医療や農業支援の活動を行う医師・中村哲さんの講演会が8月9日、宇部市文化会館(宇部市朝日町8)で行われる。
福岡市出身で九州大学医学部を卒業した中村さんは、国内病院の勤務を経て1984年にパキスタン北西のペルシャワールに赴任。以来、ハンセン病の治療や難民キャンプ・山岳地帯の医療過疎地域に診療所を開設するなど貧困層への医療活動を続けてきた。
2000年以降は、専門外でありながらもアフガニスタンの干ばつによる水不足の解消のために、飲料用の井戸1600本と灌漑(かんがい)用の井戸などを掘削。約7年間かけて約25キロもの農業用水路も建設し、砂漠化した農地を約3年でよみがえらせた。
主催は山口大学医学部国際医療研究会。発起人は、1月に福岡で行われた中村さんの活動報告会などに参加した医学科5年の長谷川実茄さん。「現地のコミュニティーの中に入り、柔軟さとフットワークの軽さをもって医療から農業支援まで幅広く活動されていることや、30年間も純粋な奉仕の心で活動されている姿を多くの方に知ってもらいたいと思い、直接講演会を打診した」と話す。
当日は「アフガニスタンに生命の水を」を演題に、中村さんの活動内容や体験談、エピソードを約2時間にわたり講演する。長谷川さんは「中村医師が『道端に困った人がいたら助けるのが当然。その一心で30年間続けてきた』と言われたことに非常に感銘を受けた。国際貢献の在り方などについて考える場となれば」とも。
18時開演。入場料は300円。定員は500人。問い合わせは宇部市民活動センター「青空」(TEL 0836-36-9555)まで。