トークイベント「イナカ☆ナリワイラボ 徳島県神山町×山口県長門市編」が1月18日、長門市油谷のダイニングバル「zen」で行われた。
油谷で農業を営む百姓庵の井上雄然さんと、徳島県神山町を拠点に活動するらんぼう(上田直樹)さんのトークセッション。田舎の仕事の盛り上げ方や地域おこしをテーマに行われ、県内外から15人が参加した。
井上さんは2002(平成14)年に油谷に移住。「田が荒れていく姿や害獣が増える様子など、過疎化の怖さを目の当たりにした。個人事業主として塩づくりをしてきたが、法人化することで雇用が生まれるようにと考えて最初の一歩を踏み出した」ことなどを紹介。
「なぜ塩なのか?」という問いには「原料となる海水がおいしい環境づくりに取り組んで、そこに住む人が誇りに思う地域になることを目指している」と答えた。
らんぼうさんは、日本各地の過疎化した地域で興味深い取り組みをしている人やその生き方を紹介する「あーすガイド」の代表。拠点にしている神山町で「できない理由よりできる方法を考えよう」「とにかくはじめる」というルーツを作ったことを紹介。
「神山町は移住者に対してサポートが厚く希望者が200人待ちと言われているが、それでも人口は減っている。やみくもに人口を増やすことを目的にするのではなく、何人増えたら良いのか、どういう人に来てほしいのかを考え、空き物件に関してもただホームページに掲載するのではなく『パン屋に向いています』と利用例を出すことでパン屋をやりたい人に来てもらえるようにする」など、ビジョンを明確にしているという。
トークセッション後は参加者同士でワークショップを行い、「自分の住んでいる地域が元気になるために自分ができること」「今後やってみたいこと」などを共有した。
福岡から参加した岩本まみさんは「神山町に行ってみたいと思った。現在は個人事業主だが、横のつながりを広げ、みんなで作り上げていくのがこれからの事業だと感じた」と話す。
宇部市から参加した中野智久さんは「地元の長門市で少子高齢化が進んでいるのを肌で感じていた。人口流出も自然の流れだから仕方がないとの考えが変わった。将来は医療に携わりたいが、医療行為だけでなく地域に関わる仕事にしたい」と話す。
主催した「あーすガイド」は今後、砂漠の緑化につながる250キロのマラソンイベントを行うほか、人の可能性の広がりを子どもたちに体験を通して伝えるために88カ所の学校を回ることなどに挑戦する。