山口市出身で記憶障がいを患った写真家・向田美保さんと、その父親の画家・秀敏さんの作品展「光溢(あふ)れる、この世界2」が現在、宇部西リハビリテーション病院(宇部市沖ノ旦)の1階ギャラリーモールで開かれている。
交通事故の影響で高次脳機能障がいを患った美保さんは、過去の記憶を全て失っただけではなく、新たに記憶することや感情をコントロールすることが難しくなったが、見舞いに来た友人の写真がその時の記憶を思い出すきっかけになると気付き、記憶に残すために写真を撮り始めた。
今回は、「この世界の美しさ」や「生きていることは当たり前ではなく、生かされている」というテーマをもとに選んだ美保さんの写真16点とパネル8点、秀敏さんの作品13点を展示する。
美保さんは「写真を撮り始めた当初はあくまで記録のためだった。写真館のカメラマンとして働いていた時、泣いた後に見えた何気ない景色が輝いて見え『この光を伝えていきたい』と強く思い、独立してこの活動を始めた」と話す。
「美術館と病院、老人ホームや障がい者施設を併設した『光の美術館』を作りたいという構想を長年持っていたので、病院での個展開催が夢だった。今後もいろいろなところで『光の美術館』を展開していきたい。作品を見て笑顔になったり、元気になったりして希望を持ってもらえれば」とも。
開催時間は8時~20時。2月25日まで。19日10時~16時には美保さんと秀敏さんが在廊し、80種類以上のポストカードや、その場で描く似顔絵の販売を行う。