宇部市新天町の画廊「GALAXY(ギャラクシー)ふくなが」で現在、「ムクロジ木器展」が開かれている。
同展は、奈良県出身で下関在住の木器職人・辻翔平さんの6年ぶりの個展。同画廊での単独個展は初で、ケヤキやクスノキなどを使い「日常的にもハレの日にも」使えるというわんや皿、盆、ボウル、木べら、コップ、一輪挿し、キャンドルホルダー、キーホルダーなど約340点を展示する。2つの寄せ木を合わせて作った作品や、壁面に飾れる鏡やスツールなどの新作も披露する。
辻さんは、大学に在学中のインターンシップ先で挽物(ひきもの)職人に出会い、木工用のろくろを使い、回転する木材に刃物を当てて削る技法「挽物」の「かんなくずがシューッと出る気持ち良さに一瞬にして心を奪われた」という。
大学卒業後は、福岡県大川市のインテリア商社に勤務した後、「自身の手でものづくりがしたい」と妻の地元である下関に移住。2015(平成27)年6月に工房「ムクロジ木器」(豊浦町宇賀本郷)を設立した。
木を伐採するところから器になるまでの全ての作業に携わり、作品には下関の木を中心に使用し、下関のクスノキを使った作品もある。「器を通して地元の山や木の魅力を伝えられたら。木材を削る刃物などの道具も自分で製作する。器によって寸法が違うので、手のひらを自然に丸めた形に沿うコップなど、使いやすい器と手との関係性を大事にしている」と話す。
「温かい飲み物を入れても器が熱くならないのが木の器の特徴で、氷を入れたときはカラカラという音が優しく鳴る。表面をしっかりとコーティングしているので、水などが染み込むこともない。魂を込めて作った自身の器に、SNSなどでおいしそうな料理が盛ってあるのを見ると作ってよかったなと思う。個展では、テンションが上がる自分の道具をぜひ見付けに来てほしい」とも。
辻さんは現在、福岡の大学で実技も含めたクラフト授業も行っている。「いつか、木工職人がなりたい職業ランキングに入ることを目指したい。最終目標はもちろん第1位。器はもちろん人も含めた『名物おじさん』になりたい」と笑顔を見せる。
開催時間は10時~18時30分。水曜定休。3月13日まで。土曜・日曜には辻さんが在廊する予定。