阿武町のキャンプ場「ABUキャンプフィールド」(阿武町奈古)が3月12日、オープン1周年を迎えた。
同町の地方創生事業「町の縁側事業」の一環として、道の駅・阿武町そばに開設した同キャンプ場。雇用創出や移住定住促進などを目指してキャンプ施設のほか、さまざまな体験プログラムなどを提供し、人口約3000人の小さな町の玄関口として同町の魅力を発信している。
1年目は目標を2000人上回る1万2000人が利用。隣接する「道の駅・阿武町」や「日本海温泉・鹿島の湯」にも好影響をもたらし、コロナ禍で落ち込んでいた両施設の売り上げは、同キャンプ場開設前後で比較すると、道の駅で5.8%増、温泉施設で22.9%増となった。
花田憲彦町長は「1年前に立てた計画通りにいくか不安もあったが、順調に利用がありホッとしている。地域に根付き、新しいすてきな場所ができたと位置づけられていると感じる。道の駅・阿武町は『道の駅』発祥の駅だが、そのステータスに甘んじることなく、目的を持って来訪してもらえる道の駅を目指してきた。今、それが実現できつつある。ここにテントが張られ、夜には多くのたき火の明かりがともっているにぎやかな様子は、町民の明日への活力源となっている」と話す。
前日の11日には記念イベント「一周年祭」を開催。地元の農産物を販売する「あぶの恵みアウトドアマーケット」や、「漁港でワカメ採り体験」「シーカヤック」などの体験プログラムを行い、県内外からの多くの来場者でにぎわった。「マグロ解体ショー」でさばかれたマグロの刺し身の振る舞いには長蛇の列ができたほか、神楽「福賀神楽」の演目の中では地元の酒蔵・阿武の鶴酒造の酒を振る舞った。
体験プログラムの事前予約には約200人から申し込みがあり、当日は約50組がキャンプを利用した。遠くは京都からも来場があったという。「漁港でワカメ採り体験」の参加者は「こんなにもキャンプ場に近い場所でワカメが採れることに驚いた。それも本格的なワカメなので早速、酢の物にして食べたい」と笑顔を見せた。
花田町長は「今日の来場者の様子からも楽しんでもらえていることがひしひしと伝わってくる。体験イベントを通じてイメージアップが図られていることは間違いなく、非常に喜ばしい。阿武町ならではの自然の素材を生かし、さらに知恵を絞って新たな体験イベントを開発していきたい。さらに多くの人に体験してもらい、阿武町の関係人口を増やし、地域経済のさらなる善循環が生じることを期待したい」と話す
2年目の目標は、体験プログラムやおもてなしの内容をさらに充実させ、年間来場者数1万6000人を目指す。