
琴崎保育園(宇部市上宇部)の園児らが10月9日、宇部・上宇部で稲刈りを体験した。
同保育園は、琴崎八幡宮(同上)の鎮守の杜にあり、「コメと神道の結びつき、古来からの稲作文化を通じて発展してきた日本の歴史を肌で感じてもらいたい」(権禰宜の白石憲一さん)という思いから、2018(平成30)年から園内行事として取り組んでいる。今年6月には年長児32人が田植えを行い、約4カ月間、稲の成長を見守ってきた。
当日は絶好の秋晴れの下、園児らはグループごとに分かれて稲刈りを体験した。昨年から協力している元農家の小田善美さんを筆頭に、地域の人に教わりながら、園児らは鎌を持って丁寧に稲を収穫し、昔ながらの「はぜかけ(天日干し)」も行った。その後、小田さんによるバインダーでの稲刈り作業を間近で見学した。
初めて稲刈りを体験した松村咲那(さな)ちゃんは「切ったり結んだりして楽しかった」と笑顔で話した。渡邉心翔(まなと)くんは「またやりたい。肉とご飯を一緒に食べたい」と満面の笑みを見せた。
協力した小田さんは「米を作るには八十八通りの作業があるといわれている。自分たちが食べている米のひと粒ひと粒がそうやって手間をかけて出来ているんだよと、食のありがたみを伝えていきたい」とほほ笑む。
権禰宜(ごんねぎ)の白石さんは「子どもたちには、稲の触った硬さ、ワラがすれる音、温かみのある匂いなど、写真や文字だけでは伝わらない生き物のプロセスを手作業を通して体感してもらいたい。大人になり、『あの時やったよね』という記憶が残ってくれたら、それだけでとても価値がある」と、体験の意義を語った。
同園では今後、地域で採れた新米を味わう企画も予定しているという。