50年以上にわたってJRの切符を販売してきたJR宇部線・草江駅横の「西村商店」(宇部市草江2)が11月3日、閉店した。
テレビ番組「ナニコレ珍百景」内で「切符を販売している駄菓子店」として紹介されたこともある同店が開店したのは1954(昭和29)年4月。店主・西村キミさん(91)が農家から転身し、生活用品を主に販売する店として開店した。
開店から数年後、同駅の無人化に伴ってJRの切符の受託販売を開始。以来、半世紀以上にわたり通勤・通学のほか、山口宇部空港を経由した旅行客など多くの利用客を見送ってきた。
「早朝5時の始発から19時まで、よほどのことがない限り毎日営業してきた」と振り返る西村さん。閉店した理由については、「私が元気な内に店じまいをしたいから。未練がないわけではないが、私ももうすぐ92歳。潔くやめようと決心した」と、そっと語る。
「キミばぁちゃん」として親しまれてきた西村さん。これまでの57年間を振り返り、「本当にいろいろな人との出会いがたくさんあった。切符を通して人とのつながりが生まれ、触れ合えたことがとても良かった。この店には語り尽くせない思い出がたくさん詰まっている」と目を細める。
今後については、「今までは店にいることが多かったので、宇部市街は知らないことが多い。これからは市街を見て回って楽しみたい」と笑顔で話す。
今後、切符は電車内での販売となる。