現在公開中の映画「永遠の0(ゼロ)」内のシーンで使用されているテントなどを山陽小野田の「宇都宮テント商会」(山陽小野田市くし山1、TEL 0836-84-7990)が手掛けた。
百田尚樹さんの小説を映画化した同作。太平洋戦争中の天才的な操作技術を持つゼロ戦乗りの生きざまや家族との愛を60年の時空を交差しながら描く。出演はV6の岡田准一さんなど。
同社が手掛けたのは、戦闘時に砲弾などの衝撃を吸収する防御具・マントレット53枚とオリーブドラブ色のテント2張り。2年ほど前に話を持ち掛けられ、数カ月にわたる綿密な打ち合わせを行い、「太平洋戦争時に使われていたテントを再現する」という要望に応えた。
「具体的な色や図面、完成イメージは伝えられていたものの、現在の製法とは異なるために試行錯誤を繰り返した。生地を機械で圧着しては再現できないので、縫製部隊はフル稼働だった」と振り返る同社の宇都宮秀彰社長。当時使われていない金具が見えないように布をかぶせて装着するなど工夫を施し、麻が入った帆布を使うことで質感を再現したという。
宇都宮さんは「どのように使用されるかは聞いていなかったが、作中では使い込まれた雰囲気の細工がされ、シーンによっては壁になるなどさまざまな場面で登場し、終始感動していた。エンドロールの美術協力で社名が流れたときには涙してしまった」と笑顔を見せる。「今年で創業56年。これまで培ってきた技術や長年の知恵があったからこそ、応えることができた」とも。
おのだサンパーク(中川6)で1月11日~13日に開かれる「第5回やまぐち名産品フェア」では、同社が制作したテントと同様の生地を使って仕上げたかばんを用意。2,000円以上の購入客を対象に、抽選で1日5個進呈する。