山口大学を今月卒業する中野貴子さん(経済学部経営学科4年)が、「山口の地域メディアと山大生の関係」をテーマにした卒業論文を完成させた。
「卒論テーマはマーケティングに関係することであれば自由だったので、山口にいる今しかできない広告研究がしたかった」と話す中野さん。論文のタイトルは「山口大学生のライフスタイルと地域メディア消費の関係に関する研究」。福井出身の中野さんが入学時から気になっていた「山口大学生の特徴」と「地域メディア」との関係を研究し、「どういった学生がどのように地域情報を消費しているのかを明らかにし、学生にはどのようなメディアが有効か、またどのようなメディアが存在したら学生生活が活気あるものになるのかを示唆すること」を目的に論文づくりを進めた。
有効なデータを取得するため、同大生500人を対象にアンケートを実施。アンケートでは、「るるぶ」「ほっぷ」「plus design」「MOTTEKE」「APPEALE+」「ゼクシィ」「食べログ」「市報やまぐち」「山口新聞」「週末ちぐまや家族」など地域メディア15媒体の「認知度」「接触度」「役に立つ度」などを5段階評価で得たほか、日常生活で重視していることを回答することによって回答者のライフスタイルが「勉強・研究どっぷり型」「サークル型」「部活型」などの11グループに分かれるように工夫した。
「アンケートで得たデータを分析した結果は、わたしが感じていた山大生の特徴から予想していたものとは全く違うものだった」と中野さん。「今思えば、アンケート手法やグループ分けなどをもっと違う方法で行ったほうが良かったのかもしれない」と少し悔いを残しながらも、「地域メディア企業に対して、山大生向けに自社メディアの価値をいかに高めるかという問題を考える手がかりとなるものにはなっていると思う」と静かに胸を張る。
同大でも、これまで同テーマでの研究例がないテーマだったため参考になる資料がほとんどなく、企業内研究の論文を取り寄せてみるなど試行錯誤の日々だったが、初対面の他学部の教授からは、「そんなに頑張っているなら、授業中にアンケート配布の時間をあげる」と快諾してもらえたことも。さらに、「この様な機会は学生にとっても刺激的。こちらこそありがとう」と感謝の言葉まで掛けてくれる教授もいたという。アンケートの片隅に、「こんな珍しいことをしている先輩を応援します。頑張って完成させてください」と応援メッセージを書き込む学生も。「山口らしい、人と人との温かい付き合いが卒論完成までにたくさんあった」。
「山口での4年間では数え切れないほどの温かい方との出会いがあった。人の温かさを日々感じていたので一度もホームシックにならなかった」と中野さん。卒業後は山口を離れ、東京でセールスプロモーションの仕事に就くことが決まっており、「わたしにとって『山口』は自分の生き方・方向性が見えるところだった」と山口で過ごした日々を振り返りながら、「大学生活を過ごした山口に貢献できるものを何か残したかった。わたしが1年間でやってきたことが、大好きな山口に少しでも貢献できたらとても幸せ。今後の地域活性化に向けた地域メディア活用方法の参考資料になればうれしい」と話す。
今後については、「自分を高めるために今やっていることに全力を注ぎ、人脈を拡げ、今以上のことに挑戦していきたい。セールスプロモーションの仕事では、自分の色を出し、伝えたい情報を楽しく伝え、社会に貢献していきたい」と人生の新たなステージに意欲をみせる。