宇部を中心にラーメン店「一久」を展開している一久食品(宇部市岬町3、TEL 0836-33-1915)が12月、創業40周年を迎える。
ラーメン店「一久」は1970(昭和45)年、1号店を東新川(現在の東新川店にほど近い場所)に出店。来店客10人で満員になるような広さで1杯80円のラーメンからスタートした。
3年後には新川店(現在と同じ場所)を出店。その後、徐々に店を増やし、一時は広島や大阪にも出店したが、現在は宇部6店、山陽小野田2店、下松1店の全9店を展開している。
自宅用の「お土産ラーメン」の専用自動販売機があることでも有名な一久。瓶ジュースや紙パック牛乳用の自販機を改良したものを一時期は全店に設置していたが、県内の主要スーパーでも「お土産ラーメン」を販売するようになったため、現在は小野田港店のみに自販機を設置している。
こってりとした独特の味と風味が特徴の同ラーメン。宇部・山陽小野田では長年親しまれており「どの店がおいしいか」「どの店が好きか」といった店ごとの味の違いが話題になることも多い。専務の紀ノ崎正之さんは「店ごとに味のバラつきはある。もっと言えば同じ店でも時間帯によって微妙に違う」とも。
同ラーメンは「スープだし」を一切使わずに、豚骨を砕いて煮込んだ「豚骨100%のスープ」を各店で作っている。そのため微妙な違いが各店で生まれ、さらにこのスープを3割残して新しいスープを継ぎ足しながら運営している。「各店で味を統一させるためには『スープだし』を本部で作って全店で共通利用すれば良い。過去には味の統一を目指して動いたこともあったが、当ラーメンの独特の味は『スープだし』を一切使わずに豚骨だけを煮込んで作るスープだからこそできる味。味を統一させるとこの独特の味は出せない」と話す。
同じ店でも時間帯によって味が微妙に違うことについて、紀ノ崎さんは「各店にはスープ鍋が2つあり、来店客が多い時間帯に合わせて4時間ごとに鍋を替えている。鍋を替えてすぐの時間はサラッとしているが、鍋にずっと火を入れ続けているため時間が経つと煮詰まってとろみがついていく。このために時間帯よっても微妙に違いが出る」と話す。
来年には西宇部地域への出店を予定している同ラーメン。40周年を記念して一久(いっきゅう)にちなんだ11月19日、当日の利用客に500円券を進呈する記念キャンペーンも行う。各店先着200人。