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インタビュー2016-02-08

こだわりの銘菓、販売戦略に変化 有限会社小川蜜カス本舗

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ビジネスマッチング宇部(以下、BM宇部)とのコラボ企画「事業者インタビュー」。第12回は、社名にもなっている「蜜カス」や宇部銘菓「利休まんじゅう」などを製造販売する老舗菓子店、有限会社小川蜜カス本舗の代表取締役・小川伸策さん。もうじき創業100年を迎える同社の今後の展開などについて聞いた。(聞き手/山口宇部経済新聞編集長 田辺久豊)

-小川社長、お久しぶりです。これまでに会合などでしかお会いしたことがなかったので、職人姿を拝見するのは初めてです。商品は全て小川社長が作っておられるのですか。

和菓子は全て私が作っています。洋菓子は担当の女性スタッフが作っていますね。

-店内には商品がたくさんありますね。商品数はどれくらいあるのですか。

今はどれぐらいあるのかな…。結構な数があると思いますよ。

-御社は「蜜カス」や「利休まんじゅう」というイメージが強いので、これだけの商品数があるのは意外な感じがします。今日は、御社のこれまでの変遷や今後の展開などについてお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。

はい、どうぞよろしくお願いします。

-小川社長は三代目になるとお聞きしましたが、会社を継がれて何年ぐらい経つのですか。

私が25歳の時に受け継いだので約25年になります。もう人生の半分になりますね。将来は自分が継ぐという意識があったので、大学卒業後に菓子職人としての経験を積もうと京都で修業しました。その後は金沢に行こうと考えていたのですが、実家から「人がいなくて、厳しい」と言われ、半ば無理やりに京都から山口に連れ戻されました(笑)。

-本店は創業当初から昭和町にあったのですか。

そうです。初代当主の祖父(直次さん)は光市に住んでいたそうですが、大正時代に宇部が炭鉱で発展して移り住む人が多かったので祖父も宇部に出て来て、当初は飲み屋か眼鏡屋を始めようと思っていたそうです。それが、菓子店の手伝いをしたらそれが面白かったらしく、そこから創業に至ったそうです。もうじき創業100年を迎えます。

当初はこの店の前には松林があったと聞きました。私が子供のころにはすぐ近くに食品スーパーがあって時間帯によっては自転車さえ通れないほど人が混み合っていましたね。

-現在はこちらの本店と、厚南中野プラザ店がありますが、厚南のお店は何年前にオープンされたのですか。

20年くらい前です。厚南地区には早い時期から住宅地ができていて、先代(父、恵治さん)の戦略もあって出店しました。交通量の多い道路沿いにあるので、今では厚南の店舗は知っているけど、本店の場所を知らないという人も多くなりました。

-本店と厚南店では、どちらの売上が多いのですか。

最近はあまり変わりませんね。というのも、ここ5年ぐらいで本店の売り上げが落ちてきています。近くの食品スーパーが閉店して人通りが減ったことや、市内に菓子店が増えたことなどが原因だろうと考えています。

-そうなんですか。人口がどんどん減っていますからね。商品別での売上はどうでしょうか。人気の商品を教えてください。

代表商品の「蜜カス」と「利休まんじゅう」が最も人気があって、売上も多いですね。これらに並んで人気があるのは「小川の外郎」です。本店でしか販売していない「大粒」という商品も人気があります。大きな栗を丸々一個使った商品です。
外郎に関しては、他社の製造ラインを見せてもらったことがありまして、その際に和菓子を作る工程として必要なある工程が抜けていることに気付きました。当社ではその工程を行うことで外郎の水分を保つことができ、1カ月経っても外郎がやわらかいままです。

-それぞれの商品にこだわりがありそうですね。社名にもなっている看板商品の「蜜カス」についてのこだわりも聞かせてください。

通常のカステラは米飴と水飴を使います。米飴には卵のにおいを消す効果があるのですが、創業当時は米飴が高価で手に入らなかったそうです。そこでハチミツを代用したところ、卵のにおいが消すことができて味も良かったので「蜜カス」が誕生しました。

今はハチミツの中でもクセが最も少ない「れんげ」のハチミツを使ってカステラを作っています。国産のハチミツは中国産に比べて10倍近く高価なので使うことができませんが、ハチミツ以外は国産にこだわっています。おいしさを追求した結果、佐賀県産と熊本県産をブレンドした小麦粉と北海道産の砂糖を使っています。「石垣島のおいしいお砂糖」を使ったカステラも販売しています。

-なるほど、やはり相当なこだわりがありますね。「蜜カス」は今や宇部市を代表するお菓子のひとつですよね。街中のあちこちに電柱広告が出ています。

電柱広告はかなりの数を出していますね。地元の人にとっては、もはや景色の一つになっている部分もあるようですが、他所から来られた人は「一体何の店なんだろう?」と疑問に思われるようで、テレビのクイズ番組で出題されたこともあります(笑)。

-それはおもしろいエピソードですね。確かに他所の人から見れば違和感のある商品名かもしれません。

「釣りバカ日誌」の撮影で山口に来られた三國連太郎さんも電柱広告を見て不思議に思われたようで、「蜜カス」を持ち帰られて奥様が気に入ってくださったとお聞きしました。

昨年は長崎からカステラ研究家の方がお越しになり、「全国のカステラの中で5本の指に入る味だ」と評していただきました。

それからこれはお客様から聞いた情報ですが、タレントの壇蜜さんがラジオで「蜜カス」を食べていらっしゃったそうです。

-壇蜜さんが「蜜カス」を! 蜜つながりですね(笑)。すごくおもしろいじゃないですか。ほかにもおもしろいネタがたくさんありそうですね。そういったエピソードをうまくPRに生かせばもっと全国的に売れるんじゃないですか。

そうかもしれません。ですが、どうしても作る方にばかり意識が向いてしまって、どうやって売っていくのかということまで手が回らないところがありますね。今まではそれでも売れていましたが、今後は改善していかないといけないと思っています。

-人口も減っていきますからね。具体的にはどういった改善を考えておられますか。

やはり自社の商品を知ってもらうというか目にする機会を増やさないといけないので、置いてもらう場所を増やそうと思っています。これまでは、置いてもらえる場所を厳しく選別していたのでお断りすることも多かったのですが、今は提案された話はほぼお受けしています。

それから、改善する必要があると強く感じているのは「包材」です。自店舗以外に商品を並べるとなると、手に取りたくなるような見た目の良さも重要ですからね。味の良さだけではなく、そういった部分にもこだわっていかないといけないと思っています。

-なるほど。ちなみに今現在、自店舗以外で商品が置いてあるのはどういった場所ですか。

県内のマックスバリュ系列の店舗で多く取り扱っていただいています。そのほか、JRの駅や空港の土産店、フジグランなどのショッピングモール、道の駅にも置かせていただいています。今後はいろいろな場所に置いてもらって当社の商品が目につく機会を増やしていきます。

-商品の種類がたくさんあるということも知ってもらいたいですよね。「うべ元気ブランド」に認証されている商品もありますね。

「やまぐちうべっちゃケーキ」と「小川の外郎 宇部産緑茶」、「岬通りまんじゅう」の3つが認証されています。どれも小野茶を使っていますが、お茶の風味をしっかりと感じるお菓子です。

宇部市の事業では今、ときわ動物園の「スイーツグランプリ」にエントリーしています。「グリーンカステラ」という新商品で、常盤商会(宇部市新町)さんの農園で採れたケールという野菜を混ぜ込み、鮮やかな緑色のお菓子に仕上がりました。

こういう機会を通して、当社の商品はカステラや利休まんじゅうだけではなく、さまざまな商品があるということを知っていただきたいですね。

-今後は他社とコラボした商品を増やしていくのもいいのではないでしょうか。

そうですね。個人的には香りのきつい酒を使った菓子を作ってみたいです。クセや香りが強いくらいの方が菓子作りには合うんですよね。気軽にご相談いただきたいです。

-なるほど、分かりました。守るべきものは守りつつ、新たな展開も期待できそうですね。今日はお忙しいところ有難うございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

有限会社小川蜜カス本舗
山口県宇部市昭和町1丁目4番22号
TEL:0836-21-0857
代表者:代表取締役 小川伸策

有限会社小川蜜カス本舗

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店内には暖色の壁紙や蛍光灯を使い、落ち着いて和むことができる空間を演出。視覚や嗅覚でも楽しめるよう、天ぷらはカウンターキッチンで揚げて提供する。「私は田舎育ちなので、自然に囲まれた厚狭の素朴さに引かれた。地域の人に親しみを感じてもらえるよう努めたい」と矢野さん。
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