国宝や重要文化財などの修復を手掛ける日本画家・馬場良治さんの個展「四季を描く 一瞬」の後期が9月1日、厚東のアトリエ「地神舎」(宇部市棚井、TEL 0836-44-3996)で始まった。
馬場さんは宇部出身で、同所を拠点に平等院鳳凰堂(京都府宇治市)や三十三間堂(京都市)、周防国分寺(防府市)など全国各地の国宝や重要文化財をはじめとする歴史遺産の色彩や壁画の調査・復元を手掛ける。同展は馬場さんの1年ぶりの個展。今年6月からこれまでに描いた30作品の中から15点を展示する。
1995年からは「四季」をメーンテーマに、これまでに200点近くの作品を描いてきた馬場さん。同展では、2005年から約2年間かけて国宝・阿弥陀三尊が収蔵される三千院(京都市)内の阿弥陀堂「往生極楽院」の内陣や「舟底型天井画」を再現したことから、仏教の世界観「曼荼羅(まんだら)」をテーマに夕焼けや海、山などの風景や花を描画。「花は仏、花の下の金箔(きんぱく)は台座を、風景は阿弥陀(あみだ)仏の西方浄土をイメージした」。
「同じ海や川が天変地異によって日々表情を変えることや、人の人生にも良しあしがあることを自然で表現した」と馬場さん。8月21日に展示が始まった「前期」を含め、これまでに約1500人の来場があったという。
自然と調和しながら作業を行うために、18年前から宇部に拠点を移している馬場さん。「描いてきた作品数としては多くはないが、炭で表現をすることにオリジナリティーを見いだせたように思う。これからは日本画の描画に割合を置き活動していきたい」とも。
開廊時間は9時~17時。入場無料。今月10日まで。