山口市香山公園(山口市香山町)内で開催中の「山口お宝展-雪舟が愛したまち山口」に、開催期間中の三連休中日となる2月11日、梅の花が満開となった園内に約6,000人の観光客が訪れた。主催は山口商工会議所。2月18日まで。
「国宝瑠璃光寺五重塔」特別公開では昨年に引き続き、塔の一層部分が公開されている。昨年の開催では半世紀ぶりの公開ということもあり、期間中、山口市民や観光客など延べ87,000人が同寺を訪れた。昨年は公園内の駐車場では来場者をカバーしきれず大渋滞が続いたが、その後、駐車場対策や一部道路拡幅工事により今年は大きな渋滞もなく、車の出入りもスムーズに行われている。マイカー客は福岡や広島などの県外ナンバーも目立ち、名古屋からの観光客は「五重塔公開を目当てにわざわざ来た」と、熱心に見入っていた。
五重塔の周りでは緑色のジャンパーを着た「山口市観光ボランティアガイドの会」スタッフが観光案内を無料で行っている。ガイドらは「五重塔は大内義弘公の菩提を弔うために建てられたお墓です」と、ガイドブックには載っていない解説も。一層部分の公開により五重塔の心柱を見ることができた観光客も、思わぬ幸運に目を丸くしていた。
五重塔の前では、山口市の市民団体「国宝瑠璃光寺五重塔を中心とする大内文化を世界遺産に登録を推進する会」により、世界遺産運動への署名活動も行われていた。既に3千人を超える署名が集まっており、同会では1万人の署名を目標に活動を進め、山口市に提出する予定だという。開催期間中、同会ではオープン講座「大内文化学びの会」を1月21日より毎週日曜に開講している。初日となる同21日には、会場となった瑠璃光寺本堂に用意された50席が早々に満席となった。最終日の2月18日14時から、同会の福田礼輔会長(大内文化のまちづくり協議会会長)が講演を予定している。
香山公園内では、湯田温泉配給協同組合が「足湯」の出張無料サービスを行っている。湯田温泉は山口市の中心部に位置する天然温泉で、一日2千トンの湯量を誇る。源泉は72℃の高温アルカリ温泉で、室町時代から温泉地として知られる市民憩いの「お宝」。お宝展巡りで疲れた足を足湯につけた観光客も10分程度で体全体がポカポカと暖まり「疲れがとれる」と好評だ。
今回の「お宝展」は市外や県外からの観光客が目立っているのが特徴。同展は冬場の観光閑散期に「いかに観光客を集めるか」を課題に2年前に企画された。山口市内には室町時代に華やいだ大内文化の史跡・文化財が随所に残っているが、官民まとまった催しは同展が初。山口商工会議所が中心となって実行委員会が立ち上げられ、神社仏閣、民間施設だけでなく博物館などの公共施設に保管されるお宝も、時期を合わせて多数展示された。結果、閑散期である冬場に全国から多くの観光客が訪れるようになたほか、期間中の週末は湯田温泉の旅館も観光客で賑わった。官民一体となった2年目の取り組みは会期終了まであと1週間と迫った。
来年の「お宝展」は、1月18日~2月17日の日程で決まり、すでに関係団体との催事調整に入っているという。次回「お宝」公開に期待がかかる。
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