萩市浜崎町に昨年12月1日、江戸時代の蔵を改修した一棟貸しホテル「hotel168(イロハ)」がオープンした。
文化財指定を受ける築200年の海産物問屋の蔵を活用し、最大4人まで宿泊できる。土壁や天井の梁など蔵独特の造りはそのままに、簡易キッチンスペースやシャワールームを完備。京都の老舗寝具店IWATAの寝具や萩焼、萩ガラスの食器、萩出身アーティストの書、絵画などを備え、「モダンで上質な空間作りにこだわる」という。1泊3万円~(一棟料金)。
運営は、飲食店経営や起業支援スペースの提供などを行う「はぎ地域資産」(東浜崎町)。同社は鎌倉でウエディングやレストランなどの事業を手掛ける「b.note」 が2018(平成30)年に設立。萩のシェアオフィス「ukishima(ウキシマ)」でイベントを開くなど、地元住民と共にまちおこし事業を企画している。
コロナ禍でのオープンとなったが、県外客のほか市内からも宿泊客があったという。同社の小川優子さんは「私自身も奈良から移住してきたが、萩は『あるもの』と『無いもの』のバランスが良く、心地よい時間が流れているところ。ホテル内の壁や天井も蔵の造りをそのまま生かし、昔からあるものを大切にしてきた萩ならではの空間に仕上がった。一つしかない窓から漏れる朝の光や、港町らしい船の汽笛の音など、ゆったりとした時間が過ごせるはず」と話す。
「チェックアウトも14時までと、ゆとりを持たせ、市内の散策や地元飲食店でのテークアウトも楽しんでほしい。萩観光といえば史跡が中心になりがちだが、地元の人しか知らないようなスポットなど、歴史だけではない萩のローカルな魅力を『暮らすように』泊まって楽しんでもらえれば」とも。
今後については、「萩の中でも浜崎地区の方々は特に地元愛にあふれ、まちおこしを自分のこととして考える人が多い地域。私たちも、この町を残す手伝いをするのが使命だと考えている。今後はホテル近くの古民家でレストランもオープン予定。コロナ禍ではあるが、地域ぐるみで今できることを提案していければ」と話す。
予約は、1組限定の貸別荘予約サイト「STAYCATION」で受け付ける。