「YCAM爆音映画祭2024」が8月30 日から、山口情報芸術センター(YCAM=山口市中園町)で開催される。
同館の夏の恒例イベントで、国内で最高レベルの音響環境といわれる「スタジオA」を会場に、音楽ライブ用の音響機材を使用して大音響の中で映画を上映する。今年は9月1日までの3日間に、13作品を上映する予定。
イベント前夜祭として、映画監督でミュージシャンの甫木元空(ほきもとそら)さんとアーティストの梅田哲也さんによる「YCAM爆音映画祭2024前夜祭スペシャルライブ」を初開催する。
同館シネマ担当の前原美織さんは「これまでもライブを行ったことはあったが、当館で活動するアーティスト同士がコラボするライブは初めて。甫木元さんは父親が山口出身で子どもの頃には山口によく訪れていたという地元縁のアーティストで、梅田さんが山口中心商店街で展開しているメディア作品『タイムホン』にも参加している。当館ならではのライブになるのでは」と期待を寄せる。
同映画祭の目玉作品は、複合文化施設「Bunkamuraシアターコクーン」が初めて挑んだライブ配信のための演劇作品「プレイタイム」(2020年、日本)で、全国初のスクリーン上映となる。上映後には、映画評論家の樋口泰人さんと、同作品の構成・演出を担当した梅田さんのトークイベントを予定する。
「夜明けのすべて」(2024年、日本)上映前には、映画における音の魅力を探るツアー形式のイベント「バックステージツアー」(今月31日、要事前申し込み)を実施し、同映画祭の舞台裏に迫る。樋口さんと同作品の三宅唱監督、俳優の斉藤陽一郎さんらが音のこだわりについてトークする。
このほか、アニメーション研究・評論家の土居伸彰さんが「めくらやなぎと眠る女(日本語版)」(2022年、フランス・ルクセンブルク・カナダ・オランダ)を解説する「ミニレクチャー」や、樋口さんとのトークイベント、上映作品「違国日記」(2024年、日本)の瀬田なつき監督と樋口さんのトークイベントも予定する。
前原さんは「昨年は爆発音やアクションなどの迫力が魅力の作品を多く上映したが、今回はささやかな音を拾って楽しんでもらう作品を多く選び、音響設備もそのようにセッティングしている。『爆音』と聞くとただうるさいだけというイメージの人もいると思うが、繊細な音も大きく聞くことで作品の見え方が変わってくる。まだ未体験の人も、怖がらずに来てもらいたい」と呼びかける。
入場料は、1回券1,700円(前売り1,500円)。スペシャルライブは、一般3,500円(前売り3,000円)。期間中は飲食ブースを設け、日替わりで弁当やコーヒー、スイーツなどの販売を行う。