宇部西リハビリテーション病院(宇部市際波)で10月3日、ピアニストの碓井俊樹さんが慰問演奏会を行った。
同演奏会は、宇部市渡辺翁記念会館に展示されているピアノを修復するプロジェクト「伝説のピアノ復活計画」の一環として行われ、オーストリア・ウィーンと東京を拠点に世界各国で演奏活動を行う碓井さんがピアノ演奏を披露した。
今回使用したピアノは約100年前に製造された「ベヒシュタイン」社製のもので、20世紀前半のフランスを代表するピアニストのアルフレッド・コルトーが1952(昭和27)年に宇部市内で開かれた演奏会で使用。宇部興産初代社長の俵田明邸から宇部市に寄贈され、宇部市立図書館2階で保管されてきた
同プロジェクトを主宰するSAKI-DORIプロジェクトの真部尚志代表は「図書館にあるピアノの歴史を知り、復活しようとしている渡辺翁記念会館のピアノと合わせて、貴重な歴史があることを広く知ってもらいたいと思い今回の演奏会を企画した。碓井さんも快く賛同してくれた」と話す。
同ピアノを演奏した碓井さんは、「私も100年ほど前に製造されたピアノを愛用しているが、このピアノはとても良い音色。メンテナンスこそ必要だが、演奏家として当時のピアノの音色で演奏できることはとても大きな喜び。ピアノに秘められた歴史を知ってもらえればうれしい」と笑顔を見せる。
同プロジェクトは、10月18日・25日に渡辺翁記念会館のピアノの修復費用を寄付によって集めるチャリティーリサイタルを開く。同18日はシルバーふれあいセンター(琴芝町2)でドイツ・デュッセルドルフ在住のバイオリニストのノエ・乾さん、同25日は宇部市文化会館(朝日町8)で碓井さんとピアニストのマリオ・へリングさんが出演する。
真部代表は「2年前から取り組んできたプロジェクトも、アーティストの方々からの協力を得ながら幅を広げてきた。ピアノにまつわる背景を通して宇部の歴史・文化を、音楽の方面から伝えたい」と話す。
チャリティーリサイタルのプレイガイド詳細などは、同リサイタルのフェイスブックページで確認できる。今回の慰問演奏会で使用した図書館のピアノは、今月26日まで同院内1階ロビーに展示する。