幼稚園に飛来することで全国的に有名になった宇部・ときわ公園のモモイロペリカン「カッタ君」が7月16日、亡くなった。
同日15時前、公園内を散歩していた近所の男性が湖に浮いているペリカンを見つけ、近くの売店に連絡した。連絡を受けた飼育指導員が救助したところ、死んでいたのがカッタ君だったという。死因は不明で、判明するには約1週間かかるという。
カッタ君は、1985年に日本初の人工ふ化で生まれたモモイロペリカン。7月8日に誕生日を迎えたばかりで23歳だった。宇部市常盤遊園協会動物課によると「人間で言うと40歳前後。まだ長く生きると思っていた」という。
1989年に同公園から約800メートル離れた明光幼稚園へ飛来し、幼稚園に通い始めたことからテレビなどで取り上げられ、全国的に話題となった。1995年には映画「カッタ君物語」も制作され、市内ではカッタ君にちなんだお菓子なども販売されている。同公園や宇部市のアイドル的存在だった。
同協会動物課の飼育指導員・白須道徳さんは、カッタ君の人工ふ化から携わり、今までずっと育ててきたいわば育ての親。白須さんは「ペリカンが浮かんでいると連絡が入り、ボートで駆けつけたところ、顔を見たらカッタ君だとすぐに分かった。人間社会とペリカンの世界を行き来してきただけに、これまでいろいろな出来事があった。苦労して育てただけに残念」と時折涙ぐみながら、カッタ君のことを話した。
第一発見者の宇部市在住の61歳の男性は、近所に住んでいることから、運動のために公園内を毎日のように歩いているのだという。16日はたまたまペリカン島の前を通り、湖を見ていたところ、金網の外で浮いているペリカンを見つけた。男性は「ペリカンが好きで、ときわ公園のペリカンとは十数年の付き合い。カッタ君は人によくなついていて、私の顔を見ると寄ってきていたので、とてもさみしい」と話していた。
17日、常盤遊園地内の動物愛護碑前に献花台が設置され、碑の横にはカッタ君の写真が置かれた。訪れた人は献花台の前で手を合わせ、突然のカッタ君の死を悲しむ様子が見られた。
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