宇部全日空ホテル(宇部市相生町)で6月8日、来年春に卒業予定または今年卒業した学生を対象に「ふるさと山口企業合同就職フェア」が開催された。
参加企業26社のうち、ほとんどが地元の製造業、サービス業、小売業。参加した学生の数は「昨年を上回り」、開場から1時間の時点で110人を超えた。参加した学生の一人は「狙いはまだ定めていない。今回の説明会でさまざまな企業から話を引き出したい」と意欲をみせた。
今年の学生の特徴は、福岡や広島、東京など他の都道府県からのUターン希望者の多さにあるという。福岡工業大学に通う学生は「山口での就職は安心感がある。友達・家族の近くで就職が決まれば何より」と話す。宇部フロンティア大学の就職担当者は「10人ほど学生を連れてきたが、自身の専攻以外の職種の企業説明を聞く学生もいるなど、就職に対する焦りを感じる。まだまだ厳しい状況であることに変わりはない」とし、「毎年学生たちの地元志向が強くなってきている。やはり不況の中で親元から離れられない現実もあるのでは」と推察する。
企業側からはそうした学生たちに対し、「地元に就職することを優先しているようだが、それで彼らの本当にやりたい事と一致しているのかは疑問」との声も。ビックモーター(岩国市)の担当者は「やる気のある学生、ない学生というのは企業説明を聞いている時点ですでに顕著に現れる。我々の話を聞いている様子を見ると、この先少し心配になる。年々この差が開きつつあるように感じる」と話す。
出展企業は減少する傾向にあるという同フェア。主催した宇部商工会議所の担当者は「不況もあり企業の出展数減少は仕方ないが、これで企業と学生の接点が減るのは残念。県内各地でこのフェアを開催しているが、さらに北部の萩でも開催準備を進めている。企業と学生の間にうまく立っていきたい」と話す。
今後は、岩国(今月10日)、山口(同11日)でも、同様のフェア開催を予定する。