山口を中心に専門学校を展開するYICグループ(山口市小郡小金町)が6月10日、ヤフー(東京都港区)とソフトバンク系通信大学「サイバー大学」(福岡市)と連携したIT授業を開始するにあたり、契約調印式を行った。
同校が新たな取り組みとして始めるのは、eコマースやインターネット広告を活用できるIT人材の育成。「Yahoo!ショッピング」を活用し、サイバー大学の教育プラットホームとヤフーの実務ノウハウの指導の下、9月から授業を展開する。
同校は、実践的な技能訓練を行う「職業教育学校」を目指す中で、昨夏にはサイバー大学と教育連携協定を締結。IT人材の育成をすることで地域活性を目的にする。
同日行われたセレモニーには、同校の中谷浩美常務理事とヤフーの八代峰樹コーポレートインテリジェンス本部長、サイバー大学の小野邦彦副学長が出席。調印を交わし、互いの連携を強固にしていくことを再確認した。
同校の中谷専務理事は「3年ほど前から校内外での話し合いを進め、やっとスタートラインに立つことができた。全国でも先駆的な取り組み。山口県のeコマースの現状を例えるならば、鉄を作る人はいても完成したクワで畑を耕せる人がいないような状況」としながらも、「地域の良いものを全国や世界に発信することで、ひいては県内にいながら都会並みの所得も見込める。この取り組みが地方創生の一翼にもなれるはず」と話す。
ヤフーの八代コーポレートインテリジェンス本部長は、「Yahoo!ショッピング」に現在出店のある39万店中、山口県内の店舗は400店弱と都道府県別出店数では46位ということに触れ、「今後に伸び代を感じる。時間も場所も問わない上に、地方であれば在庫を抱えてもストックする場所代も安価。YICグループの教育熱と地域活性の思いには胸を打たれた。山口で『IT維新』が起こることを期待している」と話す。
サイバー大学の小野副学長は、「山口はパソコンリテラシーが高い印象。eコマースの市場は拡大しているのにもかかわらず、教科書も教える人材もなかった。市場自体も都市圏に重点化されがちで、まだまだ地方格差があるのが現実。独自のメソッドで、地域の中で活躍するような人材を育成したい」と話す。
授業では、地元企業とも連携して「Yahoo!ショッピング」に出店し、企画や仕入れ、販売や発送までを手掛けて実際に運用しながら、販売と集客を総合的に学ぶ予定。