若手萩焼作家・田原崇雄さんの個展が6月3日、山口井筒屋(山口市中市町3)で始まった。
江戸時代初期から伝わる窯元「田原陶兵衛工房」(長門市深川湯本)の13代田原陶兵衛さんを父に持つ田原さん。2011(平成23)年にUターンして家業に入り、伝統的な萩焼や新しい感性を取り入れたオリジナルの作品などを発表してきた。
今回の個展は、田原さんが作陶を始めて今年で10年目の節目になることや、「日本伝統工芸展」で4度の入選を経て認定される「日本工芸会」の正会員に認定されたことを記念して開く。山口県内では初の個展。
展示するのは、過去3年間に制作した茶碗や水差し、鉢やぐい飲みなど約80点。伝統的な萩焼や釉(ゆう)薬に変化をつけ優しい色合いで表現したもの、日常使いできる皿や工具モチーフにして作った遊び心のある作品も並ぶ。
節目の年を迎え、田原さんは「作陶を始めた当初は、伝統的な萩焼を中心に制作していたが、昔の陶片を見て研究を重ねたり、失敗から思わぬ発見があったりと試行錯誤してきた。ようやく自分らしさを表現できるようになってきた」と笑顔を見せる。
「まずは自分の作品を自分で魅力的に思えるかどうかを考えている。使っていただいている様子を写真などで見るとやりがいを感じる。萩焼は、利用シーンや空間によっても表情を変えてなじむところが魅力。歴史ある窯を継いでいくことにプレッシャーもあるが、良い緊張感に変えながら作陶に励み伝統を伝えていきたい」とも。
開催時間は10時~18時。今月9日まで。期間中、田原さんが在店する。