宇部の酒蔵「永山本家酒造場」(宇部市車地、TEL 0836-62-0088)が8月3日、同社の地酒をブレンドした冷酒「貴ハーモニー」の販売を始めた。
地酒「貴」で知られる同社。これまでは飲食店で飲んでもらうことを前提にした商品開発を行っていたが、新型コロナの影響で需要が減少。一般消費者向けの商品の必要性を感じ、4月下旬ごろから約3カ月をかけて「家飲みを応援する」をコンセプトにした新商品を開発した。
新商品「貴ハーモニー」は、同社が製造する地酒をブレンドした冷酒で、「男山 西都の雫」を67%、「貴 純米吟醸 雄町」を33%の割合でブレンドする。
杜氏(とうじ)でもある永山貴博社長と、製造担当で「きき酒競技会」(山口県酒造組合主催)で入賞経験もある山本秀憲さんがさまざまなブレンド比率を検証。ソフトな口当たりと「男山」のすっきりとした味わいの中に「雄町」のコクを加えることで「飲み飽きない味になっている」(永山社長)。価格は1,000円(720ミリリットル)。限定4000本を製造する。
永山社長は「業務店向けから一般向けに趣向を変えた商品の開発が必要になってきた中で、当社だけではなくどこの蔵も同じような悩みを抱えていることが分かった。手軽に日本酒を手に取ってもらうためには、作る側が変わっていくことが大事。外食を控える人が多い状況が当面続くと思われる中、トライアンドエラーでやっていくしかない」と話す。
「パッケージをあえてシンプルなデザインにし、サイズも一升瓶ではなく720ミリリットルにすることで、コンセプトの『家飲み』の雰囲気に合うように作った。次は秋の季節に合うブレンドを作りたい。これまでブレンド酒はほとんど販売してこなかったが、今後は四季に合わせた『ハーモニー』シリーズも作っていきたい」とも。
永山本家酒造場のほか、県内の取扱店で販売する。