一部の飲食店でクラスター(感染者集団)が発生した山陽小野田・日の出地域で、差出人不明の「支援の手紙」が店に届き店主らを驚かせている。
同エリアは8月下旬にクラスターが発生したと発表され、飲食店は営業自粛を余儀なくされており、現在も営業再開のめどが立たない状況が続く店も多い。
手紙が届いたのは、JR小野田駅前の居酒屋「酒場ビッグ」「えいじ庵(あん)」「飛寅(ひとら)」「鉄板ダイニング DAJIN(ダジン)」(以上、日の出3)と、国道190号線付近の「ぢどりやかっちゃん」(日の出2)などで、差出人の記載がなく、手書きの手紙と商品券2,000円分が同封されていた。
手紙には、「新型コロナウイルスの影響で小野田駅周辺の飲食店が大変なことになっていると知りました。何度か伺ったことのあるこちらのお店のことがとても心配になりました」と書かれており、最後に「商品券はわずかですが何かの足しにされてください。スタッフの方のご健康をお祈りしております」(以上、原文ママ)と結ばれている。
1週間の休業を経て再開した「酒場ビッグ」の店主・柏村雅彦さんは、「突然届いたのでとても驚いた。差出人に心当たりはない。当店は辛うじて営業しているものの、来店は少なくとても厳しい状況が続いている。気持ちが本当にありがたく、この手紙は大切にお守りにしたい」と話す。
ランチタイムのみ営業している「飛寅」の店主・高木祐太朗さんは、「誹謗(ひぼう)中傷の手紙かもと戸惑ったが、支援の手紙だと分かった瞬間、時が止まったような感覚だった。何から始めていいのか気持ちも落ち込む中、どうにかして店を再起させようと背中を押してもらった思い」と話す。
営業自粛を続けている「えいじ庵」の店主・福田稔さんは、「ありがたく、うれしいの一言。見た瞬間は涙が出そうになった。今はお守りとして常に持ち歩いている」と笑顔を見せ、「『捨てる神あれば拾う神あり』という思い。見通しも立たない中でとても励まされた。何とか耐え抜いて頑張っていきたい」と話す。