城下町として栄えた萩に古くから伝わるひな人形を展示する「萩城下の古き雛(ひな)たち」が2月3日、萩市の文化財施設などで始まった。
江戸時代の「享保雛(きょうほうびな)」や一般家庭から寄贈された昭和初期のものなど約1200体を、文化財施設「旧久保田家住宅」や「菊屋家住宅」(呉服町)など市内15会場で展示する。
呉服商・酒造業で栄えた旧久保田家住宅では、京都御所を模した豪華な作りで明治・大正時代に流行した「御殿雛(ごてんびな)」や、公家の装束を忠実に再現した格式高い「有職雛(ゆうそくびな)」など歴史ある約500体を展示。
お内裏様の冠に十字架が刻まれ、かつて萩で暮らした隠れキリシタンの遺物ではないかと伝わる貴重な人形も見ることができる。
萩では旧暦の桃の節句に当たる4月3日にひな祭りを祝う習慣が根強く残っており、展示も4月3日まで行われる。展示会場を巡るスタンプラリーを実施しているほか、最終日には藍場川(旧湯川家屋敷周辺)で「流し雛」が行われる。
NPO萩観光ガイド協会の弘永利子さんは「人形の表情や衣装、道具などに当時の流行がうかがえ、見ごたえ十分。時代ごとの違いを見比べて、文化財の建物と合わせて楽しんでほしい」と話す。
問い合わせは萩市観光課(TEL 0838-25-3139)まで。