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萩の「小田養蜂場」が70周年 創業者88歳、「100歳まで現役で」

「高い品質を守り続けていきたい」と話す小田孟さんと柴木和子さん、一宏さん

「高い品質を守り続けていきたい」と話す小田孟さんと柴木和子さん、一宏さん

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 萩市内で唯一の養蜂場「小田養蜂場」(下五間町、TEL 0838-22-2322)が、今年で創業70周年を迎えた。

花の季節ごとに県内各地で蜂蜜を採取

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 阿武町出身の小田孟さん(88)が1949(昭和24)年に開いた。小学4年生のとき、担任にミツバチの巣箱を見せてもらったのをきっかけに養蜂に興味を持ち、戦後間もなく兄とニホンミツバチを飼い養蜂を始めたという。

 小田さんは「最初は1箱だけ、何のツテもないところから始め、試行錯誤しながら箱を増やしていった。当時はレンゲ畑が多く、萩はミカン栽培が盛んだったこともあって養蜂家も約40人いた。サツマイモや菜の花の多い鹿児島にも箱を設置して蜜を取り、汽車で箱を運んだことも」と振り返る。

 昭和50年ごろから農業の機械化や都市化が進み、かつてはどこにでも見られたレンゲ畑が減少し、県内でも専業養蜂家は約10人にまで激減した。小田さんは、山口県の養蜂協会の理事を務め、養蜂の普及に取り組んでおり、養蜂を通じて研究した土壌や温度管理の技術を地元農家に指導することもある。

 現在は娘の柴木和子さんと夫の一宏さんが後継者として養蜂に取り組んでいる。和子さんは「話し始めると止まらないほど養蜂のことが大好きな父が70年培ってきた今の品質を保ち、今後も守っていけるよう努めたい」と話す。

 同社の商品は飲食店で調理に使用されるほか、「百花はちみつ」(1キロ=2,800円)や「みかんはちみつ」(600グラム=2,100円)などは萩市内のスーパーや道の駅で販売され、地元での知名度は高い。レンゲやミカン、クロガネモチなどが咲く県内各地に養蜂箱を設置して現地で蜜を採取。花の季節に合わせて萩や阿武町、宇部など約10カ所を巡り「1箱に最低でも4万匹の蜂が育つようにしている」(小田さん)。

 今後に向けて小田さんは「何事も研究。これまでのデータと経験は頭に全てインプットしている。良い蜂が育てば、おのずと良い蜜ができる。プロの誇りをもって100歳まで現役で続けたい」と養蜂への深い愛情を語る。

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