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老舗映画館「萩ツインシネマ」再始動から1年 廃業危機乗り越え、市民と共に

「昭和レトロ」の雰囲気が漂う老舗映画館

「昭和レトロ」の雰囲気が漂う老舗映画館

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 萩市の老舗映画館「萩ツインシネマ」(東田町、TEL 0838-26-6705)が、映写機の故障による廃業危機から営業再開を果たして1年を迎える。

映画ファンにはたまらない映写室からの鑑賞も

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 1976(昭和51)年、当時としては珍しい2スクリーン完備の映画館としてオープンした同館。らせん階段やモダンな色調のロビーには昭和レトロの面影が残り、チケットも昔ながらの「もぎり」で販売する。

 かつては立ち見客が出るほどのにぎわいを見せ、長年にわたり市民の娯楽文化を支えたが、大手シネコンの近隣進出の影響を受け2004(平成16)年4月に廃業。同年8月に市民らの呼び掛けによりNPO法人「萩コミュニティシネマ」が復活させ、現在も市民ボランティアらによる運営が行われている。

 2009(平成21)年12月には山口県内初のデジタル映写機を導入。その後、フィルム映画の上映を終了して経営を縮小し、1スクリーンのみでの上映となった。

 2019(平成31)年2月、1台しかない映写機が故障。「これを機に閉館しようかとも考えた」(柴田寿美子支配人)が、「北浦地区唯一の映画館を絶やしてほしくない」という地元の声が大きかったことからクラウドファンディングで寄付を募ったところ、同年6月に目標額を達成し新しい機器を購入。同7月31日から再始動した。

 柴田支配人は「古い映画館を残す価値があるかどうか、全く自信のないところからのスタートだったが、全国には昔ながらの映画館を大切に思ってくださる方が多くいらっしゃり、クラウドファンディングを通して映画館を続けていく覚悟ができた」と話す。

 同館で上映する映画は公開から2、3カ月経過したヒット作が中心だが、いわゆる「単館系」や海外のマイナー作品なども上映し、映画ファンからの支持も厚い。劇場でのミニライブや自主上映会などイベント会場としても機能する。

 コロナ禍で来場者が激減している同館を盛り上げようと、8月22日には俳優・ミュージシャンの吉田栄作さんが劇場内でアコースティックライブを行う。50人限定で、18時開演。前売り券5,500円、当日6,050円。8月1日から28日には吉田さんが出演する映画「空母いぶき」を上映する。

 柴田支配人は「便利な時代に、不便だけど懐かしくて、人と人との触れ合いを大切にする場所として、昭和50年代からのスタイルをなんとか新しい時代につないでいきたい。少子高齢化の街の映画館として何かしなければと思っていた矢先のコロナ禍で、来てほしい人に来てもらえない厳しい状況。落ち着いたらゆっくりと映画を楽しんでほしい。感染症対策を十分に行い、緊張感を持って今できることを続けていきたい」と今後を見据える。

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