竹資源利活用の拠点となる総合施設「竹LABO(ラボ)」が11月21日、宇部市小野にオープンした。
2016(平成28)年3月に廃校となった旧小野中学校の校舎を活用した同施設。「竹資源を生かして地域を元気にする総合施設」をコンセプトに昨年2月29日に開設したものの、新型コロナの影響で一般公開を延期していた。見学は事前予約制。常駐のスタッフが施設を案内する。
施設の運営・管理は、宇部市と「竹資源の利活用に関する連携協定」を締結した地元の任意団体「小野元気プロジェクト」からの委託を受けた「エシカルバンブー」(防府市)が行う。竹製品を手掛ける同社の田澤恵津子社長は「竹の情報や有効活用方法をこの場所から発信して、地域の荒れている竹林を整備し、竹林やふるさとをよみがえらせ、元気な里山を目指したい」と話す。
1階には竹製品を扱うエシカルバンブーの研究所や竹製品を作る作業場と地域の農産物の加工場を、2階には炭の紹介など行う「炭LABOルーム」と竹資源での起業を目指す人のコワーキングスペースを、3階には同施設内で製造された竹楽器など竹関連の品を多数設置した「竹のミュージアム」や県内外の竹職人・竹作家の作品を展示する「特別展示室」などを、それぞれ設ける。
コワーキングスペースには、現在12社の竹事業者が登録。廊下には古い竹かごや熊手などを飾っている。
地元の団体と連携し、地域の文化やコミュニティの継承にも力を入れている同施設。地元の小野和紙作りの伝統を文化を次世代に継承しようと同校舎に常設されていた紙すきの設備を活用し、地域の小中学校を対象とした総合学習向けの体験授業も行う。
田澤社長は「当社のノウハウを竹事業者に支援し、マーケティングやブランディングなどを行う。最終目的は国産竹に付加価値をつけ持続可能な新しい竹産業を構築すること。今年中には当施設から徒歩数分のところに竹繊維の工場も稼働させる予定。小野地区から世界につながっていく施設を目指し、国内の林業を豊かな産業にしていきたい」と話す。「近年、繁茂しすぎた竹の様子を竹害と呼ぶこともあるが、竹材は長らく活用されてきた有益な資源で『竹財』。竹を学び、竹の魅力を知り、竹の正しい生態を知ってもらうことが、竹の未来について考えてもらえるきっかけになれば」とも。