日本最大級のカルスト台地で知られる美祢市が4月1日から、三輪自動車「トゥクトゥク」のレンタルを始めた。
トゥクトゥクはタイなど東南アジアでタクシーとして利用されている乗り物。普通自動車免許(AT限定含む)で運転することができ、乗車定員は7人。座席にドアや窓はなく、天井にはほろが取り付けてある。安全面の配慮から、全席シートベルトを配置した。屋根にはスピーカーも取り付け、スマートフォンと連携して音楽を楽しんだりすることもできる。秋吉台でのアクティビティの充実に力を入れる同市は電動自転車や小型電気自動車「コムス」などを導入してきたが、いずれも1人乗りで、家族やグループで楽しめるものがなかったという。
観光客らの移動手段の提供と、観光資源のプロモーションを目的に導入した。市から業務委託を受けた「美祢市観光協会」がレンタル事業を運用する。
発案者は美祢市と観光交流連携協定を結んでいる日本航空から市観光振興課に出向中の今西光孝さん。今西さんは「美祢の代表的な観光地の秋吉台や秋芳洞などの価値を上げ、美祢市の魅力をもっと県外に広めていきたいと発案した。公共交通機関が限られる中で移動も楽しみながら名所を巡る手段は何かないかと考えた。日本では珍しい乗り物のトゥクトゥクによる移動を遊びや体験などのアクティビティに変え、美祢全体を盛り上げていくきっかけにつながれば」と話す。
レンタル料金は1時間=7,000円から。貸出返却場所は、秋芳洞バスターミナル横の「秋吉台観光交流センター」。事前予約が必要で、空きがあれば当日でも利用可能。走行は美祢市内に限定する。
レンタル事業のほか、イベントでの貸し出しやガイドツアーも計画しているという。西山洋史主任は「目立つので走行しているだけでPRになる。インスタグラムなどSNSでの拡散がさらなる魅力発信につながれば。普通の車だと一瞬で通り過ぎてしまう場所も、360度見渡せるトゥクトゥクならではの景色で美祢の魅力を再発見してもらいたい」と話す。
今西さんは「赤と青のレトロなフォームで見た目もかわいらしいので、見かけた人に興味を持ってもらえるのでは。コロナ禍でも安心して楽しめる、開放感のあるトゥクトゥクで壮大な秋吉台を走りながら、風の心地よさや台地の香り、ダイレクトに広がる景色を感じてもらいたい。家族や仲間と感動を共有し、乗った人が笑顔になり楽しいと感じてもらえたらうれしい」と話す。
当面は1台だが、好評であれば台数を増やしていくという。同市観光協会のホームページで予約できる。問い合わせは同市観光協会(TEL 0837-62-0115)まで。