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山口・YCAMで「監視資本主義」テーマに観客体験型の作品上映

体験の様子(撮影=山中慎太郎(Qsyum!)、写真提供=山口情報芸術センター[YCAM])

体験の様子(撮影=山中慎太郎(Qsyum!)、写真提供=山口情報芸術センター[YCAM])

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 観客体験型のパフォーマンス作品「アンラーニング・ランゲージ」が現在、山口情報芸術センター(YCAM=山口市中園町)で行われている。

イベント会場の様子

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 同施設が2020年から研究者などの専門家と共に取り組む、情報とインターネットの未来を探る研究開発プロジェクト「鎖国[Walled Garden]プロジェクト」の集大成となる同公演。今作は、コード(コンピュータープログラム)を表現方法として用い、アメリカを拠点に活躍するアーティスト、ローレン・リー・マッカーシーさんとカイル・マクドナルドさんとコラボレーションし、「AIにはない人間の資質とは何か?」をテーマに探求する。

 「鎖国プロジェクト」は、ネットワーク技術がライフラインの一部となる一方で、フェイクニュースやサイバー攻撃のほか、行動データや個人データの収集といった「監視資本主義」という社会問題を投げかけ、インターネットが普及した現代におけるテクノロジーやコミュニケーションのあり方をテーマにオンラインでワークショップを行うなど、3年にわたって展開してきた。

 館内には、「監視資本主義」について紹介するパネルのほか、過去に展示した作品やワークショップのアーカイブ動画を並べる。

 会場内には、マイクやスピーカー、スポットライト、椅子を設置。参加者はそれぞれの椅子に座り、AIに自己紹介を誘導された後に対話を始める。「目の前の人に好きと言ってください」という指示や、体験者一人ずつにスポットライトが当たり「機械と聞いてイメージすることは?」などの質問を語りかけてくるAIに対して、表現したり、質問に答えたりして参加者同士がAIとコミュニケーションを取りながらミッションをこなしていき、人間と機械の違いについて考えていく。

 会場の外にはディスプレーも設置。AIが観客の表情、言葉、身体の動きをカメラやマイクを通して検出、分析したデータを動画として公開し、自分のデータが取得されていることを客観視できる区画も用意する。このほか関連イベントとして、専門家によるトークイベントやワークショップ、作品を体験した声を共有するシステム「鎖国掲示板」なども実施する。

 同施設パフォーミングアーツ・主任プロデューサーの竹下暁子さんは「現代社会において、ネットワークとAI技術が結びつくことで、私たちの日常がデータ化、分析され、行動を予測された結果、個人の嗜好(しこう)やライフスタイルに沿った『最適化した』情報が受けられるようになった状況にフォーカスした作品。インターネットをはじめとするテクノロジーと人との関係についてアートセンターならではの見せ方で、課題や新たな可能性に関心を持ってもらえるきっかけになれば」と話す。

 上演は10時30分から30分ごとに行い、最終は17時30分からの各回入れ替え制。平日は12時30分から各3回。対象年齢は10歳以上。定員は各回2~7人。入場料は当日券のみで500円。any会員・25歳以下は無料。火曜休館(12月29日~1月3日休館)。2023年1月29日まで。

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