山口市小郡下郷の住宅街に12月3日、パン店「ねこパン家(ねこぱんち)」がオープンした。「街と人と猫に寄り添う小さなパン屋さん」をコンセプトに、店主の田宮歩さんと夫の龍之さんが、夫婦二人三脚で切り盛りしている。
パン作りを15年来の趣味としてきた歩さんの「いつか店を開きたい」という夢をかなえるため、一家は今年4月、大阪から歩さんの出身地である山口市へ移住。龍之さんは妻の夢を全面的に支える道を選んだ。
倉庫だった空き家を改装した約10坪の店舗では、歩さんが製造を担当し、龍之さんが接客や運営全般を担う。トングやトレーも猫をモチーフにするなど、家族で愛する猫への思いが店内の至る所に散りばめられている。
パンは国産小麦やよつ葉バター、地元農家の野菜を使用し、マーガリンを使わない「自然素材」にこだわる。「子どもに安心して食べさせられるか」を基準に選んだ素材が、15~16種類のパンに姿を変える。
主な商品は、猫の顔を模した「めにゃんパン」(230円)、ゲランドの塩で焼き上げた「塩パン」(170円)、バトンチョコなどを巻き込んだ「塩チョコパン」(260円)、日替わりで厚焼き卵やコロッケなどの具材を変える「ねこのてサンド」、白ネコの肉球をイメージした「白ねこのおてて」(250円)など。
また、歩さんの親戚から受け継いだ秘伝の味を再現した「船乗りのカレーパン」(290円)も注目を集める。30種類以上の素材を煮込んだ「タカさんカレー」をアレンジし、太白胡麻油で揚げた自慢の品だ。「船乗りだった親戚のタカさんが寸胴鍋でカレーを作ってみんなに配っていた。それが本当に美味しくて、レシピを受け継いでパンに合うようにアレンジした」と歩さん。
店名の「ねこぱんち」は、次女のアイデアから生まれたという。龍之さんは「家族の時間を大切にしながら、妻の夢を支えたい。今後は福祉施設や買い物に不自由している方への無料配達も行い、パンを通じて会話が生まれるきっかけを作れたら」と、地域貢献にも意欲を見せる。
歩さんは「主人や子どもたちの応援に支えられた、家族とともにある店。体に優しいパンを提供し、居心地の良い場所として細く長く続けていきたい」と笑顔を見せる。
営業時間は9時~15時(売り切れ次第終了)。土曜・日曜・祝日定休(不定期で営業あり)。