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宇部の工房「カミナリ窯」が1周年 落雷から命名、常盤地区の赤土使用

「のんびりと作り続けていきたい」陶芸家・今泉龍介さん

「のんびりと作り続けていきたい」陶芸家・今泉龍介さん

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 宇部・西岐波の工房「カミナリ窯」が4月1日、オープンから1周年を迎えた。

陶芸家・今泉さんの作品

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 工房を開いたのは東京都出身の陶芸家・今泉龍介さん。2002(平成14)年から沖縄の工房で約16年修業した後、約2年前に妻の地元・宇部に家族で移住し、自宅の納屋を1年かけて工房に改装した。

 名前の由来は、自宅も兼ねている同所に落雷があったことから。今泉さんは「妻のお父さんが幼い頃に落雷があったらしく、工房の名前を考えるときに妻が提案してくれた。ユニークだなと思って付けた」と話す。

 今泉さんは、大学卒業後にインドに赴いた経験があり、その時に、現地の人が商人から買った素焼きの湯飲みを道で割って捨てる日常風景が強く印象に残ったという。

 「帰国後、さまざまな映画を鑑賞してさらに影響を受け、好きなことを仕事にしたいとどんどん思うようになった。これからどうしていくか先を考えたときに、インドでの出来事を思い出し、焼き物の世界に飛び込んだ。たとえ割れてしまったとしても、またこの窯の器を使ってもらえたらうれしい」と今泉さん。

 日常使いできるマグカップや茶わん、皿、花器など、シンプルで使いやすく、生活で使う中でほっとできるようなものにこだわって制作する。作品は「工房・愚(ぐう)」(中央町1)で販売。価格は1,200円~。

 足で蹴って回転させる「蹴ろくろ」を使い、「自然への感謝も込めて、なるべく住んでいる土地や身近な所の材料を使いたい」と原土は常盤地区の赤土を使うほか、下関市の化粧土や島根県益田市、近所の農家など近隣からうわぐすりを仕入れている。

 現在は、「てしま旅館」(阿知須)に先月28日オープンした陶芸教室「周防猫庭窯」で講師を務め、週1日旅行客などに陶芸を教えている。

 今泉さんは「1年を振り返り、がむしゃらにやってきたが、ようやく少しずつ手応えを感じてきた。自然にありがとうという気持ちを常に忘れず、すごく特別なものではないけれど、生活になじむ『普通の上等』と思ってもらえるような器をこれからも作り続けたい。コロナの影響で開放できずにいたが、落ち着いたら敷地内で商品を並べる『柿の木ギャラリー』も開催できたら」と話す。

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