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宇部の貸本店「小串文庫」が閉店へ-地元最後の貸本店、57年の歴史に幕

3代目店主の山田さんと看板犬のサンちゃん

3代目店主の山田さんと看板犬のサンちゃん

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 宇部・小串でコミックを中心に貸し出す貸本店「小串文庫」(宇部市南小串、TEL 0836-21-5540)が12月27日、閉店する。

長年手作業で管理してきた帳面を眺める店主

 1957(昭和32)年10月、現在の3代目店主・山田千足さんの父で宇部貸本業組合(当時)組合長だった三戸秀士さんが「安く読書の機会を提供したい」と開業した同店。43年前から会員制を始め、会員数は今日までに8989人に上る。

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 昭和中期の「貸本ブーム」を追い風に、店内にはコミックを中心に雑誌や小説など1万冊近い本をそろえ、厚紙で手作りした「貸し出しカード」を本に挟んで貸し出す当時のままのスタイルで、宇部最後の貸本店として営業してきた。

 閉店を決断したのは8月中旬。理由について「近年では大型店のコミックレンタルなどの時代の波に押され、当店を取り巻く環境も年々厳しくなっていた。新規のお客さまがない中、続けていくには難しいものがあるから」と静かに話す山田さん。

 57年の歴史に幕を下ろすまで約2週間となった現在は1日に30人ほどが利用する。半世紀以上にわたった役目を終える1万冊近くの本は、宇部市内の知人に全てを譲り渡すことが今秋決まったという。

 「月刊誌や最新の本から昭和30年代の本までそろっているので、親子2代で通ってくださるお客さまも多く、100番台の会員番号の方も未だに来店される。仕事帰りの方や学生さん、主婦の方など幅広い層の来客があり、ただ本を借りるだけではなく、世代交流や情報交換、息抜きの場として人が集う店になっていたと思う」とほほ笑む。

 「常連の方とのご縁と励ましで、何事にも代えがたい時間を過ごさせてもらった。まだまだこの場所に来ていたいが・・・」と目を潤ませる山田さん。「雨の日も風の日も雪の日もお客さまは絶えることがなかった。ここまで引き立てていただいて感謝の言葉しか出てこない。最後の日まで、これまで通りに営業していきたい」と笑顔を見せる。

 通常の貸出期間は最大で7泊8日だが、「年末年始長期間レンタル」として今月19日~1月10日まで貸出を行う。1月中は返却に応じる。料金は1冊40円~160円。

 営業時間は9時~19時。火曜・木曜・日曜定休。