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宇部名菓「利休饅頭」の「三田風月庵」が閉店-99年の歴史に終止符

同所で61年間営業した「三田風月庵」

同所で61年間営業した「三田風月庵」

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 宇部の名菓「利休饅頭(まんじゅう)」を製造・販売する「三田風月庵」(宇部市松島町8、TEL 0836-21-1310)が3月末、閉店する。

99年間の歴史が詰まった「利休饅頭」

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 1914(大正3)年に創業した同店。黒砂糖を練り込んだ生地で餡(あん)を包んだ一口サイズの和菓子「利休饅頭」一筋に99年間、地元の名菓として親しまれてきた。

 創業当時は市内・新町で営業していたが、第二次世界大戦中に材料の確保が困難になり一時休業。1952(昭和27)年に現社長・竹本寛さんの祖父が場所を同所に移し営業を再開した。竹本社長は4代目として49年間にわたり利休饅頭を作り続けてきたが「私が79歳と高齢になったこと、後継者がいないこと」を理由に閉店する。

 数十年前の最盛期には、1日に約3600個~約4000個の利休饅頭を製造。1959(昭和34)年には、皇太子殿下御結婚記念全国菓子大品評会で名誉大賞を受賞し、1963(昭和38)年には第18回の国体で来県された当時の皇太子ご夫婦にお茶菓子として献上されるなど数々の賞も受けている。

 「初期の機械を使って製造していた数十年前のころは、生産量も上がらず従業員には残業してもらって社員総出でやっていた」と目を細める竹本さん。「古いものは新しいものへと移り変わるのが自然。これも時代の流れ」とそっと語る。

 昨年末に閉店を決め、今月中旬に公表。以来、毎日予約が殺到し、閉店を惜しむ人が途切れることなく来店し完売する日が続いているという。

 「代々受け継いできた味を、私の代で途切れさせてしまうことは私の責任。非常に残念で申し訳ない気持ちでいっぱい」と竹本さん。「名誉なこともたくさんあった。当店を愛してくださったお客さまには感謝してもしきれない。心から『ありがとうございました』と言いたい」と笑顔で話す。

 営業時間は8時30分~売り切れ次第。今月31日の最終日は材料の状況で営業するかどうかを決めるという。

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