戦況を見つめる小田切監督、J2・J3百年構想リーグ第13節 FC琉球戦 (写真提供/レノファ山口FC)
秋春制へのシーズン移行という大きな転換期を前に開催された特別大会「百年構想リーグ」。
レノファ山口FCは、全20試合(地域リーグラウンド18試合・プレーオフラウンド2試合)を終え、地域リーグラウンド4位、最終順位14位という結果でこのシーズンを締めくくった。
今季から新たにレノファの指揮官に就任した小田切道治監督は、前年に降格の憂き目に遭い、どこか自信を失いかけていたクラブを「勝ちにこだわる集団」へと変える意識改革と、新たな骨格を作るチーム構築に着手してきた。
昇降格がないというかつてないレギュレーションの中、新指揮官は何を見つめ、選手たちとどう向き合ってきたのか。
3回にわたるロングインタビューの第1回は、激戦を終えた直後の率直な心境と、チームの立ち上げ時に感じた「レノファのメンタリティ」の現在地を紐解く。
(インタビュー日:6月16日、インタビュアー:田辺久豊)
【全3回の第1回】
ハーフタイムにコーチ陣と戦略を練る小田切監督、J2・J3百年構想リーグ第18節 ロアッソ熊本戦 (写真提供/レノファ山口FC)
――百年構想リーグ、お疲れ様でした。激戦を終えてオフに入りましたが、昇降格のない特別大会を終えた後のオフというのは、いつもと違う感覚なのでしょうか?
そうですね。シーズンが終わって2、3日が経って、「あれ、本当に終わったのかな?」とか、「うん、終わったんだよな」という、季節的にもなんだか不思議な感覚はありますね。
――張り詰めていたものから「解き放たれた感」というのは、あまりないですか?
解き放たれた感覚は、全くないですね。
――緊張感という部分でも、やはりいつものシーズンとは違ったということでしょうか?
もしかしたら、次(新シーズン)がすぐに来る、というのがあるからかもしれません。リラックスして完全に気持ちをオフにするというよりは、もう頭のどこかで新たな戦いへの準備に入っている、そっちの方が近いんだと思います。
――百年構想リーグの開幕前には、「誰も経験したことがない特別大会だから、どんなシーズンになるか分からない」とお話しされていました。実際に戦いを終えてみて、ざっくりとした総括としてはどのようなシーズンでしたか?
もちろん勝負事なので、昇降格がないにしても、勝てば嬉しいし、負ければ感情的にすごく悔しい。その上で、チームとしてどれだけ良い上積みができるかという可能性を強く感じた半年間でした。ただ勝った負けたの勝敗だけで終わるんじゃなくて、プレーオフを含めた全20試合の中で、チームをどれだけ成長させられるか。そこを常に意識していましたね。
ピッチの選手たちに指示を出す小田切監督、J2・J3百年構想リーグ第13節 FC琉球戦 (写真提供/レノファ山口FC)
――1つ1つの試合における「緊張感」という部分ではいかがでしたか?
もちろん毎試合緊張感はありました。ただ、それはやはり、昇降格がかかっている通常のリーグ戦のものとは、少し種類が違うような気はします。
――終盤戦に差し掛かるにつれて、順位も気になり始めたところもありましたか?
そうですね、残り4試合くらいからですかね、ちょっとずつ順位を意識し始めたのは。1つでも上の順位で終えることによって、プレーオフの対戦相手も変わってくる。そして何より、ここで1つでも上にいることが、次のシーズンへのファン・サポーターの方々の期待感に変わってくるだろうな、という思いがありました。
――時計の針をシーズン当初に戻させてください。前年、悔しくも降格してしまったチームの監督を引き受けるにあたり、まだ選手全員と顔を合わせていない時点では、どういうチームだと想像されていましたか?
そこは何も想像しなかったです。「まずは入ってみて、自分の目で見てみないと分からないな」という真っ白な状態で入りました。
――降格した直後のチームというのは、なんとなく活気がなかったり、元気がなかったりする空気感が漂うようにも思えますが、その辺りはどんな雰囲気を想像していましたか?
降格したチームだからこういう雰囲気だろう、という考えは一切しなかったですね。ただシンプルに「レノファ山口FCというチームに新たに行く」という感覚で、実際の活気や雰囲気は、行ってから肌で感じようと思っていました。
勝利後にサポーターに拍手する小田切監督、J2・J3百年構想リーグ第11節 鹿児島ユナイテッドFC戦 (写真提供/レノファ山口FC)
――実際に山口へ来られて、全員と顔を合わせて始動した時、最初に感じた第一印象はいかがでしたか?
非常に大人しいチームだなというのが最初の印象でした。
――「まずはこの大人しさを変えていかなければ」と意識されたのでしょうか?
変えるべきなのかどうなのか、そこは様子を見ながらアプローチしていきました。降格した悔しさがあって、なんとかチームを良くしたいという雰囲気は感じましたね。
――具体的には、どういった部分でそういったものを感じましたか?
大人しいんですけど、ものすごく真面目な選手たちが多くて、こちらが求める強度の高いトレーニングや、戦術の要求に対しても、誰一人として嫌な顔をせず、しっかりトライしようとする。その姿勢は、立ち上げ当初から本当に素晴らしいものがあるなと感じていました。
――その「大人しさ」は、シーズンを戦う中で少しずつ変わってきましたか?
多少の変化はあったと思います。ただ、「秘めた情熱」じゃなくて、もっとピッチの上で「表に出す情熱」でいいんじゃないかなとは思います。喜怒哀楽をもっと出してもいい。
ただ、難しいのが、感情を剥き出しにするような真逆な特徴の選手が1人いるだけでガラッと変わることもあります。チームをオーガナイズする上でそういうことも必要なのかなと感じますし、なかなか大人になると性格を変えるのって難しいので、無理に変えようとはあまり思ってないのですが、常に意識して投げかけていきたいとは思っています。
試合後の記者会見に臨む小田切監督、J2・J3百年構想リーグ第11節 鹿児島ユナイテッドFC戦 (写真提供/レノファ山口FC)