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山口・秋穂で八十八カ所霊場巡りやお接待料理体験イベント 大学生らが企画、文化を後世に

2019年に行われた「シェ・アイオ」でのお遍路体験の様子(写真提供=山口県立大学)

2019年に行われた「シェ・アイオ」でのお遍路体験の様子(写真提供=山口県立大学)

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 山口市秋穂(あいお)地区の郷土料理作りや弘法大師空海ゆかりの霊場巡りを体験するイベント「シェ・アイオ」が10月17日と11月14日に行われる。

「シェ・アイオ」で提供した弁当

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 同イベントは、山口市南部の秋穂と秋穂二島の両地区一帯にある「秋穂八十八ヶ所霊場」の巡礼者に手作りの料理や菓子を振る舞う、地域住民が受け継いできた「お接待」の風習や札所文化を学び、歩いて、味わうツアー。

 同地域住民の高齢化による札所の維持管理の難しさや、さい銭の減少などによる資金不足などの課題解決を目的に「心のこもったお接待の文化の魅力を次世代に遺(のこ)したい」と、山口県立大学地域文化創造論研究室の学生らが中心となって企画。会費の一部は、札所の維持経費などに充てる。

 同研究室のほか、山口観光コンベンション協会、秋穂地域住民らがつくる「aiohHenro88プロジェクト」などが協力して実施。シェ・アイオは、「シェア」と「アイオ」を組み合わせた造語で、伝統の味を皆で守っていこうという思いを込める。2017(平成29)年に初めて行い、今回で4回目。

 同研究室の斉藤理教授は「230年以上もの長い間続いており、地域の人々が守り続けてきたこの文化には敬意しかない。一つの札所を7世帯で守っている札所もある。年々参拝者が減ってきており、地域でも知らない人が多いように感じた。高齢化で『お接待』ができなくなってしまった札所が増えた現状を直視し、10年後20年後と具体的に残す仕組みを考えていきたい。地域の文化を大事に、学生ならではの発想で新たな視点を提供し、札所の文化をこれまでとは違った角度から新しい層に伝えていき、地域を盛り上げていくサポートができれば」と話す。

 当日は、霊場巡りの文化や歴史に触れながら、札所巡る「お遍路体験」や巡礼の味を楽しむ。10月17日は、二島地域の穏やかな風景を眺めながら68番、70番、71番札所を回るほか、周辺を一望できる高台にある54番、58番、64番、78番札所を巡る。昼には、旅人をもてなす伝統的なお接待料理と、学生らが提案した新たな創作お接待を取り入れた弁当を用意し、「朝日山真照院」にロングテーブルを設置して食事する。感染対策として昨年から対面しない形での食事形式に変更している。

 11月14日は、地域住民に学びながら作る「お接待料理教室」を行った後、25番、23番、22番札所を巡る。各札所を支える人々に事前調査を行った学生らが、それぞれの札所について参加者に説明する。

 aioHenro88プロジェクト代表の冨田正朗さんは「由緒ある伝統が続いていくことを願い、地域の人と触れ合い、継承していく人を新たに増やし、一体となって守っていけたら」と話す。

 定員は各10人。問い合わせは山口観光コンベンション協会(TEL 083-933-0088)まで。

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