
約100年前に製造されたグランドピアノが復活するコンサート「伝説のピアノ復活コンサート」が6月25日、渡辺翁記念会館(宇部市朝日町)で開かれる。
復活するピアノは、1922(大正11)年に製造された「スタインウェイ・アンド・サンズ」社製のグランドピアノで、同年に「宇部市立新川尋常小学校」(現・新川小)に寄贈され、戦火もくぐり抜けてきたが、弦がさび、鍵盤がはがれ、ペダルが壊れるなど損傷が激しい状態になっていた。
2012(平成24)年、修復費用を寄付によって募りピアノを修復するプロジェクト「伝説のピアノ復活計画」が始動。プロジェクトを主宰する真部尚志さんは「戦時中の空襲では教員が消化活動に当たって校舎を守り、音楽室にあったピアノは奇跡的に焼失を免れた。戦後は、海外から訪れた著名なピアニストの演奏会にも使われるなど、このピアノには歴史あるストーリーがある。この年代のピアノは国内でも数が少なく、楽器としても歴史資料としても貴重で価値がある」と話す。
修復作業は、歴史的なピアノを数多く修復してきたウィーン在住のピアノ技術者・加藤嘉尚さんが行った。2020年3月に第1次修復作業が完了し、音がでる状態に戻した後、同プロジェクトに携わってきたピアニストの碓井俊樹さんや、宇部市在住の編曲家でピアニストの田中祐樹さんが1年以上かけて音づくりを行った。
今月20日に行われた記者発表では田中さんによるピアノの試し演奏にあわせてオペラ歌手の秋本悠希さんが歌声を披露した。田中さんは「1年以上にわたって弾きこんで音作りをしてきたが、復活した100年前のピアノの豊かな響きに衝撃を受けた。歴史も音も未来につなげていけたら」と話す。
修復後の初お披露目となるコンサートでは、碓井さんや秋本さんらが出演し、ドイツの名作歌曲やオペラ曲、日本の四季の歌などの演奏を披露する予定。ピアノの修復や今後の活用などについて語るトークイベントも行われる。
真部さんは「多くの人にこのピアノの音色を聴いてもらいたいし、今後は市民の人も気軽に弾けるようにしていきたい。次の100年を担う子どもたちにも知ってもらい、宇部の音楽文化の振興につなげたい」と話す。
13時開場、13時30分開演。料金は、大人=2,000円、中学生以下=1,000円、未就学児無料。チケットは、6月1日から宇部市文化創造財団(TEL 0836-35-3355)が販売する。