リオデジャネイロオリンピック銅メダリストのバドミントン・奥原希望選手が2月15日、宇部市の中学校で「子ども夢教室」の講師を務めた。
教室は、(一社)宇部市スポーツコミッションが現役のアスリートなどを講師に招き、子どもたちに夢を持つことや努力の大切さを伝える事業の一環。生徒たちのスポーツへの関心・意欲向上、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの機運醸成を図る。
当日、奥原選手は午前に常盤中学校(宇部市上野中町3)、午後に厚南中学校(宇部市東須恵)を訪れ、常盤中では同校生徒453人が体育館に集い、奥原選手の講演やバドミントンの実演を楽しんだ。
講演で奥原選手はこれまでの実績を振り返りながら、2020年東京オリンピックに向かう現在の心境などを語った。
リオオリンピックのシングルスでは日本人選手初のメダルとなる銅メダルを獲得したが、「うれしさよりも悔しさのほうが大きく、オリンピックの舞台で頂点を獲る難しさを痛感した」と話す。「東京2020」で金メダルを獲得するために何をすべきかを考え、今年1月プロに転向した。
高校時代には大きなけがを経験し、「ライバルたちが練習している間にリハビリをする自分の現状にもどかしさを感じたが、多くの人に支えられて『当たり前』のことの有難みを実感した。苦しい思いをしたからこそ今の自分があり、今ではけがをしてよかったと思える」と話し、「『当たり前のこと』への感謝」や「目標を掲げること」の大切さを生徒たちに呼び掛けた。
実演では生徒や宇部興産バドミントン部の選手らと共にラリーを披露。鋭いスマッシュや緩急の効いたドロップなど多彩なテクニックに、生徒たちからは大きな歓声が沸いた。
奥原選手とペアを組んでダブルスに挑戦した同中3年生の平井綾奈さんは「小4からバドミントンに取り組んできたので、粘り強いプレーが印象的な奥原選手は憧れの人。できないところをアドバイスしてもらえてうれしい。自分も上を目指して頑張りたい」と感激の様子。
ソフトテニス部に所属する1年生の堀真名美さんは「けがをしても前向きに乗り越えたのがすごい。自分も『当たり前』の積み重ねを大切にしたい」と感想を話す。
奥原選手は「バドミントンは激しさの中の駆け引きがとても面白いスポーツなので、もっと注目してもらえるとうれしい。子どもたちには、スポーツ以外にもいろいろなことに興味を持ってほしい」と話し、「2020年に向けて、とにかく今できることをして戦う準備をしたい」とオリンピックへの強い思いを示した。