今年3月に亡くなった音楽家・坂本龍一さんのインスタレーション作品「Forest Symphony（フォレスト・シンフォニー）」の展示が8月11日、「雪舟庭」で知られる常栄寺（山口市宮野下）で始まった。

過去の様子

　同作品は、2013（平成25）年に坂本さんと山口情報芸術センター（YCAM＝山口市中園町）の研究開発チーム「YCAMインターラボ（InterLab）」が発表したアートプロジェクト。

　坂本さんは、東日本大震災をきっかけに「人類が生きる環境」を支える森林へと意識を向けるべく、樹木が発する微弱な生体電位を元に楽曲を制作することを構想。同館が開発したセンサーデバイスを樹木に設置して集めたデータをもとに制作した同作品は、季節や天候に応じて変化を続ける「森のような空間」の鑑賞体験を提供する。

　今回の展示は、同館がこれまで制作・発表してきたインスタレーション作品を、山口市の中心市街地や史跡で公開する「Yamaguchi Seasonal（やまぐちシーズナル）」の一環で行う。

　同館の展示企画を担当する西翼さんは「半野外のような環境で、目の前の庭や山といった自然の景観とサウンドが同時に味わえるのが良いところ。時間帯や天候、季節によって見え方や感じ方の変化に富んだ体験ができる作品。『Seasonal』というタイトルにもあるように、作品と自然が調和したり、違和感を生んだりと、季節ごとの変化や景色のようにそこにある作品を楽しんでもらいたい」とも。

　開場時間は10時～16時30分。入場無料（常栄寺雪舟庭入場料は別途必要）。11月5日まで。火曜、8月13日10時～13時、11月2日・3日は休止。