山口県立萩美術館・浦上記念館(萩市平安古町)で7月3日、開館30周年記念展の第2弾となる特別展「This is SUEKI―古代のカタチ、無限大!」が始まった。最新の研究成果を反映し、日本のやきものの原点である「須恵器(すえき)」にスポットを当てた大規模な展覧会は約40年ぶりの開催となる。
須恵器は、約1600年前の古墳時代から平安時代にかけ、大陸から伝わった技術をベースに日本の文化や生活様式に合わせて独自に発展を遂げたやきもの。同館学芸員の市来真澄さんは「一般的には縄文土器や埴輪ほど広く知られていないが、それらに負けないくらい面白いエピソードを秘めた、いわば歴史の『隠れキャラ』。まずはその不思議で多様な造形の数々に触れてほしい」と話す。
会場には、同館や「愛知県陶磁美術館」(愛知県瀬戸市)、「兵庫陶芸美術館」(兵庫県丹波篠山市)に所属する作品のほか、九州から東北に至る各地の重要文化財11件を含む約200点が並ぶ。展示作品は、学生時代に「須恵器」を専門に研究した学芸員らが選出した。
会期中、関連イベントとして、立命館大学文学部教授の長友朋子さんを講師に迎える記念講演会「窯の導入と渡来人」(7月11日)や、「大野城 心のふるさと館」(大野城市)の石木秀啓さんを講師に迎える「九州の須恵器と牛頸窯跡群」(9月5日)のほか、担当学芸員による「ギャラリー・ツアー」(毎週日曜)を実施する。
市来さんは「灰色で地味な印象を持たれがちだが、今日私たちが使っている丈夫なやきもののルーツ。実は山口県内にもかつて須恵器を生産していた窯の跡(窯跡)がいくつか残っており、決して遠い世界の話ではない。私たちが今住んでいる場所で1000年以上昔に起こっていた歴史のロマンを感じながら、そばにある解説とともに楽しんでほしい」と呼びかける。
開館時間は9時~17時、月曜休館。観覧料は、一般=1,300円、学生・ 70歳以上=1,100円、18歳以下無料。9月23日まで。展示作品は、前期(7月3日~8月9日)と後期(8月11日~9月23日)で一部入れ替える。