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インタビュー2016-02-15

「勝負の年」の3年目、木の魅力を伝えたい 杜の家具屋 樹工大樹

ビジネスマッチング宇部(以下、BM宇部)とのコラボ企画「事業者インタビュー」。第13回は、宇部市・船木に自宅兼工房を構える家具職人・樹工大樹(もっこうだいき)の鮎川大樹さん。独立から3年目を迎え「勝負の年」と話す鮎川さんに、職人としてのこだわりや今後の展開などについて聞いた。(聞き手/山口宇部経済新聞編集長 田辺久豊)

-先日は「ビジネスアイデアソン」にご参加いただき、有り難うございました。宇部北部エリアで今後の活躍が期待される若手だと聞いております。本日はよろしくお願いします。

はい。よろしくお願いいたします。

-まず鮎川さんの自己紹介といいますか、これまでの経歴を教えてもらえますか。

1986(昭和61)年生まれで、今月で30歳になります。出身は宇部で、黒石中学校を卒業しました。高校を中退して内装を手掛ける会社で働き始めたのですが、長く続きませんでした。その後もエクステリア工事、鉄工所、溶接、左官など、いろいろな職に就いたのですがどれも長くは続きませんでした。

本当はそれではいけないと思うのですが、仕事におもしろさや生きがいを感じることができず、自分の中で納得がいかなくて。

-これまで経験されたのは、どれも職人と言われる仕事ですね。

はい。漠然と手に職を持ちたいとは思っていたのですが、特に目指すものは決まっていませんでした。

いろんな職種を経験したのですが、木を扱う仕事だけはまだやっていなくて。と言うのも「自分には家を建てるような仕事は無理だ」という思い込みがありました。でも、もう残っているのはこの職業しかないという思いで22歳の時に工務店に就職しました。

-いわゆる大工さんの仕事に就かれたわけですね。木を扱う仕事はどうでしたか。

初めておもしろさを感じました。始める前は、単に木を切ったり削ったりというイメージしかなかったのですが、まず木の種類がたくさんあって樹種によって違う特長があるということに驚きましたし、それを加工する技術にもいろいろあるということを知り、もっと奥が知りたいと思うようになりました。

それまで自分には何もないと思っていたので、やっと楽しめるものが見つかったといううれしさもありました。ただ、僕は自分だけで物作りを完成させたいところがあって、それが出来るのは家具の製作だということに気づきました。

-一人で家を建てるのはちょっと無理ですよね。そこから家具職人の道に進むのですか。

昔からそうなのですが、何かやりたいことが見つかると一直線なところがあって・・・。工務店の方に僕の思いを説明した上で円満に退社し、西部産業高等技術学校(下関市千鳥ヶ丘町)のインテリア木工科に1年間通って木工技術や道具の使い方などを基礎から学びました。その学校で出会った先生が本当に熱意のある素晴らしい方でとても勉強になりました。

卒業後、家具を製作する会社に就職しました。ですが、そこでの仕事は木を貼り合わせて家具を作る現場だったので、せっかく学んだ技術が生かせずに物足りなさを感じていました。

-卒業後、すぐに「樹工大樹」を始めた訳ではなかったのですね。何が転機になったのですか。

個人的に製作していた看板や時計などの作品を持ってイベントに出た時に「ダイニングテーブルとイス6脚を作れますか?」とお客さんに聞かれ、作ったことはありませんでしたが学校で勉強していたので「出来ます」と答え、注文を受けました。2013年の10月だったと思います。それを機に会社も辞めて、その製作に専念することを決めました。

-それが「樹工大樹」としてのスタートとなったわけですね。その後は順調に製作依頼が入ってきたのですか。

約1カ月半かけてその家具を製作したのですが、翌月の仕事はなく収入はゼロでした。無垢の家具を作る会社に就職しようかとも思ったのですが、良い就職先が見つかりませんでした。

もうがむしゃらになってやるしかないと思って、初期費用は掛かりますが2、3カ月間は作品製作などに費やしました。その後、最初のお客様から大物家具の注文をいただいたり、イベントで商品が売れたりと、少しずつですが仕事が増えていきました。

-なるほど。紆余曲折があったのですね。これまではどのような家具を製作されたのですか。

大きなものだと、ダイニングテーブルや食器棚、学習机、本棚、椅子などです。小さいものでは器、ワイングラス、アクセサリーなどを作ってきました。子ども用の家具も多くあります。時計も作っていたのですが、時計の機械部品が故障した時の対応が難しいので、今は作っていません。

僕は無垢材が好きなので、木の木目や色を生かした家具を製作しています。使っている材木は九州のものがほとんどですが、僕が実家(山陽小野田・厚狭)の山から伐採した木もあります。

-こちらにもたくさんの作品が並んでいますね。鮎川さんが作る家具の特長を教えてください。

「ほぞ組み」というネジや釘を使わず、木を加工して組み合わせる技術を使った手作り家具を売りにしています。お客さまの要望に応えたいので、少しでも費用を安くしたい方には釘を使った商品も提案していますが、予算が合えばこの技術を惜しみなく使って製作しています。

-なるほど。木を加工して組み合わせるので手間が掛かりそうですが、手作り感があっていいですね。ちなみに現在何か製作中のものがありますか。

はい。家具ではないのですが、ご縁があって蓮光寺(宇部市東須恵)様から階段の製作依頼をいただき、現在製作をしているところです。

自営業は最初の3年が勝負と言いますが、今年がその3年目で30歳になる節目の年でもあるので「今年が駄目ならやめる」という気持ちで自分自身を追い込んで行動しています。

-その気持ちが先日の「ビジネスアイデアソン」の参加にも繋がったのでしょうか。

はい、そうです。市役所の方に相談をした時にイベントのことを教えていただきました。宇部市の方にこんなに協力的に動いていただけると思わず、「もっと早く市役所に行っておけばよかった」と思っています。自分が動けば情報もたくさん入ってくるということがよく分かりました。

つい先日、ある会社の社長に出会ってアドバイスをいただきました。僕はこれまでターゲット層を決めるという意味が分からずにいたのですが「それを決めなければ誰にも見てもらえない」と聞き、自分の作品を見てもらいたい人についてしっかり考えました。

-ターゲットとなる層は決まりましたか。

はい。30代のファミリー層に合う家具を作っていきたいと思います。30代は結婚・出産を経て居住環境が変わる世代なので、新たに家具を求めている人が多いですよね。僕も同世代なので生活を想像しやすいですし、一緒に成長していける層でもあります。今後は新築の家に合わせた家具などを提案していきたいです。

-ご自身と同じ世代というのがいいですね。ところで以前、鮎川さんが開いた「木彫りと家具のコラボ展」を宇部経で取り上げさせていただきましたが、イベントなどは頻繁に行っているのですか。

「コラボ展」は、作家の土田大二郎さんと昨年9月にも開催しました。今後も年に1回はやっていこうと話しています。まだまだ手探りな部分も多いのですが、同世代で出身中学も同じという共通点もあるのでお互いに頑張っていきたいですね。

最近では、「うべの里アートフェスタ」や宇部空港での雑貨イベントなどにも参加しました。今年もいくつか予定が入っています。

-そういった場所ではどのような作品を展示販売するのですか。

名前を知ってもらい、商品を持って帰ってもらうことが重要なので、リーズナブルなアクセサリーなどを用意しています。家具は搬入が大変なので一人で持ち運べるサイズのものを出しています。

イベントに出るのはとても良い機会なのですが、作品作りに時間が掛かるので数多く出るのは難しいんですよね。今後はイベント参加を年3回ほどに厳選していくかもしれません。

-先日の「ビジネスアイデアソン」からは何かコラボが生まれそうですか。

はい。今年の夏にイベントを開催する話が進んでいます。

-そうですか。それは楽しみです。ところで先ほど、時計の製作はもうしないとお聞きしましたがとても良い作品ですね。壊れにくい時計の部品を提供してもらえる時計店とコラボできればいいのではないでしょうか。

それはいいですね。今まではネット販売で入手した時計の部品を使用していたので、故障した時に自分が対応しなければならなかったのですが、地元の時計店とコラボして時計が止まってしまった時の対応がお願いできれば、また作りたいです。

-ですよね。そちらの方の展開も楽しみにしたいと思います。その他に今後作ってみたい家具などは何かありますか。

ひと通りの家具を作ることは出来るので、使用するイメージをつかんでもらえるようなモデルルームを用意して、部屋に置く家具を一式、全ジャンル1商品ずつ作っておきたいですね。僕のこだわりを入れて作った家具をいつでも見てもらえるようにしたいです。

-なるほど。今後もこだわりのある家具を製作し、木工の技術を極めていってください。本日は有り難うございました。

杜の家具屋 樹工大樹(もっこうだいき)
山口県宇部市大字船木3699
TEL:080-1628-3607
代表者:鮎川大樹

樹工大樹

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